暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜神話と勇者と聖剣と〜
DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
プロローグ〜ハジマリノオワリ〜
[1/6]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 セモンこと栗原(くりはら)清文(きよふみ)が姿を消してから、もうすぐ一か月が経とうとしている。彼が休学届を出して行方を眩ませたのは、六月のはじめの事。今はもう梅雨も明けた七月のはじめ。

 世界は、相変わらずに、何も変わらず動き続けている。清文が一人欠けている日常に、もう誰もが慣れきってしまった。かつての《聖剣騎士団》のメンバーたちも、なんとなくだが立ち直り始めた気がする。それは、陰斗と秋也が特に、「清文は必ず帰ってくる」と信じていることにも起因する。

 しかし、琥珀の中には、大きな穴が開いたままだった。家へと帰る道で、隣に清文がいない事に、何度も何度も涙が滲みそうになる。あの声を忘れられない。あの掌の感触を忘れられない。あの笑顔を、忘れられないのだ。

「清文……どこ行っちゃったのよぉ……」

 ああ、駄目だ。また涙が滲みそうになる――――

「……杉浦(すぎうら)琥珀(こはく)さん、ですよね」

 その時だった。その人物が、琥珀の前に姿を現したのは。

 顔を上げると、そこに立っていたのは、少し年下と思われる少年だった。光の当たり具合で水色がかって見える綺麗な髪と、整った顔立ちはまるで女の子の様だったが、纏っている雰囲気は凛々しい。服はさすがに洋服だったが、どこか武士の様な雰囲気が漂う少年だった。

「はい、そうですけど……?」
「ああよかった。セモンさんの持ってた写真しか手がかりがなかったから、不安だったんです」
「……清文のこと知ってるの!?」

 思わず少年の肩に掴みかかってしまう琥珀。少年がびっくりしたような表情を取ったことで、怖がらせてしまったかもしれない、と思い立ち、謝ってから手を離す。

「ごめんなさい……
「いいえ。……僕は鈴ヶ原ハクガと申します。セモンさんの……そうですね、一応は血縁者です」
「清文の、血縁者……」

 清文には、両親がいない。彼の両親は清文が幼い時に離婚したと聞いた。彼の肉親は、イギリスに住む姉だけで、清文が彼女を毛嫌いしていることも。琥珀は勝手に清文には親戚がいないものだと思い込んでいたので、ハクガの存在には素直に驚いてしまった。

 彼は沈痛そうな表情で話しを続ける。

「セモンさんは、小波さん……お姉さんの所にいます。それで、その……彼が現在置かれている状況を説明するために、あなたと、セモンさんのご友人の方たちを連れてこい、と……」


 ***


 そして今、琥珀たちは、イギリスの地に降り立った。先頭を歩くのはハクガだ。その後ろを歩くのは、四条カズヤと名乗った赤みがかった髪の少年。普段は騒がしいタイプなのだろう(そんな感じの顔と雰囲気である)が、今は厳しく表情を引き締めたままだ。その後ろを琥珀、秋也、陰斗、そして刹那の順番で歩
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ