暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外12話『約束の時』
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 レインディナーズを出て、町中を探すために橋を走り抜けたビビがその光景に唖然と立ち止まった。

「……こ、これ」

 死屍累々。
 そう表現することしかできないほどに、B.Wの社員が倒れていた。

 ――ハントさんが?

 先にクロコダイルと出て行ったハントの仕業かと一瞬だけ考えて、そんなわけがないとすぐに首を横に振って考え直す。ハントはクロコダイルと戦っているはずで、その彼がこんな、ビビから見ても雑魚でしかないような人間たちを相手にしたとは到底考えにく。

 ――じゃあ、誰が?

「……そうだ、サンジさんたちを探さないと」

 考え込みそうになっていた彼女だが今はそんな状況ではないことをすぐに思い出す。サンジたちが近くにまで来ていないかと首をめぐらせ「あ」
 声が重なり、目があった。

「ビビちゃん!」

 サンジだ。
 一人の男を連れて電伝虫で電話をしようとしていた彼だったが、突如目の前に現れたビビにその電話を中断した。

「急いで来て! 状況は走りながら説明するから……時間がないの!」 

 一刻の猶予もない。
 頭の切れるサンジだからこそ、それを察した。
 走り出したビビの後を追う。
 檻にとらわれたルフィたちが水の底に沈むまで、時間はあまり残されていなかった。




 砂漠。
 レインディナーズの町からまた随分と離れたその場所。
 周囲にはレインディナーズの影すら見当たらず、町と町の間にあるような場所でもないため人通りもない。目印となるようなものすら存在せず商隊すらも通らないような、まさに砂漠のとある場所としか表現のしようのない地点。

 そこで、二人の男が対峙していた。
 本来はその二人に加えてもう一人の女性の姿があるはずなのだが、その女性は既にこの地を離れているようで見当たらない。

 たった二人の男の周辺にはいくつもの砂漠のクレーターがあったり、どころどころの砂の地面が割れていたりと、明らかな戦闘痕がいくつも存在していてその戦いの激しさが伺える。
 片方は王下七武海クロコダイル。そしてもう片方は王下七武海ジンベエの弟子ハント。肩書きだけ見ればどこぞの新聞紙のトップを飾ってもおかしくはないほどの光景だが、もちろん周囲には誰もいないのだからそれが新聞に載ることもない。

 ハントとクロコダイルの戦況は五分……というわけでは決してない。
 口元から血がこぼれ息も切れているクロコダイルと、服がボロボロにはなっているものの無傷でなおかつまだ余裕がありそうなハント。という状況を見ればわかるように明らかにハントが優勢に進めていた。それに関してはハントもクロコダイルも同じような感想を抱いてはいるが、ハントの表情には決して余裕のある色は窺えない。

 ――強い、さすが
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