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少年と女神の物語
第九十話
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 いい笑顔で、はっきりとそう言ってくるママ。
 うん、分かりやすい。

「次に、つわもの一人によるものであること」
「それは・・・?」
「つまり、神殺し一人しかいちゃいけないのよ。他の神殺しやまつろわぬ神、そう言ったものたちの協力があってなら、基本権能はあげないわ。例外はあるんだけどね」

 そう言ってほほ笑んでいる姿は、見た目通りの少女が目の前の楽しみを語っているかのようだった。

「とはいえ、最初の神殺しはさすがにその限りじゃないわ。ただ人の身でありながら神を殺すには、ありとあらゆる物を利用しないとだめだもの」
「それは、間違いないね。俺の場合は、アテや立夏、リズ姉の協力が。護堂はメルカルトとプロメテウス秘笈って具合に?」
「そういうこと。そして、神具を使っての神殺しは神殺しになってからでも問題ないわ」

 そうでなければ、俺がこれだけ神を殺せている理由の説明がつかない。
 ルーとクー・フリンから正式に譲ってもらう前から、あの二振りには助けられ続けている。
 あの二槍を使って殺した神だっているんだから、そこは認められていないと。

「とはいえ、最近はまた違った形で起こることがあるのよね〜・・・」
「そうなの?」
「ええ。私の気付かないうちに与えられてたり、無意識のうちにあげちゃってたり」
「・・・これが人間なら、かける言葉があるんだけどなぁ・・・」

 とはいえ、人間相手でも失礼になるからしないけど。

「でも・・・ってことは、今回の戦いもお気に召したのか?」
「ええ。ムソーからしてみれば不満だったのかもしれないけど、あれは十分にあたしを満足させてくれたわ」

 ふうん、あんなのが、ねえ・・・

「・・・ま、俺にとっては得になるわけだし、気にしなくてもいいか」
「そうそう。ムソーが望む、家族を守るための力が増えるんだから!」

 さて、この話題は終わりにしよう。次は・・・

「・・・どうして、ウッコはトールでありたかったんだろうか・・・」

 そこが、疑問なのだ。どういった意図があって、あの神はトールを名乗ったのか。

「それは、ウッコ様にしか分からないわ。だから、これから話すのはただの推測」

 気づけば、ママは俺を後ろから抱き締めていた。

「元々、ウッコ様とトール様は同じ神様を起源としてることは知ってる?」
「ああ、ナーシャの霊視の中でも見たからな・・・バルト神話のペールコンスだろ?」
「そう。だから・・・ウッコ様は、嫉妬なされていたのかもしれないわ」
「嫉妬・・・?」

 そんな感情、神とは無縁のはずじゃ・・・いや、違うか。

「そう、嫉妬。私たち神話に記されし神々は、聖書の神様とは違うもの。嫉妬だってするし、恋だってする。ちょっとすごい力
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