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絶対の正義
第十九章
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第十九章

「トイレで水をかけてぼろぼろにしたり弁当にゴミとか海苔とか入れたりしました。それと無理矢理ゴキブリを食わせたりロッカーに閉じ込めて失禁させました。あと飼育小屋の兎達を自分達で殺してその罪をなすりつけました」
「それで全部ですね」
「マットに押し込んでサンドバックにもしました」
「皆さん、聞きましたか!」
「はい、聞きました!」
「確かに聞きました!」
「こいつは犯罪者だ!」
 全て白状させてからもなおも取り囲み糾弾を続ける。その中には古館だけでなく宮崎もいた。二人を絶対に許すつもりがないのは一目瞭然だった。
「最低最悪の人間だ!」
「人間以下だ!」
「さあ、生徒の皆さん教師の皆さん!」
 岩清水は密かに宮崎と古館の言葉だけを収録していた。それを今大音声で持って来ていたラジカセにかけてこれでもかという大音声で流し出したのだった。
「これが貴方達の先生達がやって来たことです!」
「これがだ!」
「これをどう思う!」
「最低じゃないのか!」
 同志達は一斉に彼等に問うた。拡声器を使って。
「許せるのか!」
「そして皆さん!」
 語り掛けるのは生徒達だけではなかった。周りに集まっていた市民達もである。警察もいるがそのいじめの内容を聞いたのと事前に許可を得ているとのことなので動かなかった。そうした治安を司る相手の感情にも訴え法の手配もしているのであった。
「これは許されることでしょうか!」
「いじめが!」
「これだけ卑劣で醜悪ないじめが!」
「どうなのでしょうか!」
 こう問われるとだった。市民達の反応も決まっていた。一つしかなかった。
「許されるか!」
「屑!死ね!」
「教師辞めろ!」
「地獄に落ちろ!」
 中には激昂し二人に襲い掛かろうとする市民もいた。しかし岩清水はそうした激昂する市民達の前にあえて立ってそれで止めたのだ。
「暴力はいけません」
「何故ですか?」
「こんな屑何をしてもいいじゃないですか」
「そうだそうだ」
「暴力を振るえばです」
 彼は良識の仮面を被ったのであった。
「それで彼等と同じになってしまいます」
「同じに」
「この連中と」
「そうです。いじめは最低最悪の行為です」
 このことは断定する。それと同時に過去それを行ってきた者達もそう断定する。二重の断定をあえてしてみせたのである。これも周到にだ。
「そうですね」
「はい、そうです」
「この連中みたいに」
「この連中と同じことをしてはいけません」
 くれぐれもという口調であった。
「それだけはいけません」
「ではどうするのですか?」
「それは」
「暴力はいけません」
 まずこれは絶対だというのである。
「ですがいじめをなくさなくてはいけません。その為にはです」
「その為には
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