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SAO編−白百合の刃−
SAO17-白の死神
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値なんて、存在しない。

 あの日、約束を破った私には、もう……。

「現実世界に帰りたいのは、みんなそうでしょ? そうじゃなきゃやってられないでしょ? 私は勝手に突き進んでいるだけ……迷惑かけるし、私に好かれる必要なんてないのよ」

 クラインの表情は怒りと悲しみが混ざった色を表していたが、次の言葉は静かだった。

「キリカ……オメェも忘れらんねぇんだな。前のギルドのことが……」

 その言葉を聞き、頭痛が更に激しく走り、釘を埋め込むような激痛と共に体が締め付けられた。
 それと同時に激しい怒りが沸き起こるような、振動が走った。

「……忘れるわけないでしょ」

 あの日、私が犯した罪はとても大きなもの。そんな出来事なんて嫌でも……

「忘れられるわけないでしょ!」

 私は感情を吐き出すように、クラインに掴みかかって、当たり散らしてしまった。

「皆死んだんだよ! 私のせいで! あの場にいなかったケイタは自殺して、兄には深い後悔を埋めつけさせたんだよ! 約束を守らずに、ただ一人だけ逃げた結果なんだよ! 私が逃げたせいで……私のせい、で! 誰よりも生きたいと願う、サチを…………みんなを……殺し、たぁ……」
「…………キリカ」

 クラインにぶつけても、何もスッキリしなかった。あるのは後悔だけで、頭痛は治まらず、涙は不覚にも出てしまうし、クラインに迷惑をかけてしまうし…………サチは戻ってこない。

「……キリトと一緒に所属していた『月夜の黒猫団』だったな。攻略ギルドでもねぇのに、前線近くまで上がった挙句、シーフがアラームトラップを引いたんだろ。キリカの責任じゃねぇよ」
「宝箱を見つけたのは私だよ。私が見つけてなければ……」

 妙に冷静になれたのは、感情の一部をクラインに八つ当たりしたからだろう。不思議と声は落ち着いていた。

「それでもキリカの責任じゃねぇだろ。アラームトラップだってことは知らなかったんだろ。それに、パニクるのも仕方ねぇことだろうが。キリトもキリカも、誰も責めはしねぇよ」
「本当にそう言えるの? 本当に、私の責任だって言い切れるの? 私が逃げ出さなければ、救う選択もできたんだよ。逃げ出さなければ、兄と一緒に協力していれば、みんな無事だったかもしれないんだよ。それでも私に責任はないと言えるの?」

 クラインは一瞬躊躇ったけど、すぐさま肯定をした。

 
「クラインは優しいね。でも、そんな選択を潰した時点で、私がみんなを殺したと同じなんだ……」

 それにレベルとスキルを仲間に隠してさえいなければ、何かが変わったかもしれない。ケイタ達が私達の偽りに気にさわるだけなら、ずっとマシだったかもしれない。

「それにサチとの約束を守らなかった……約束を破って、人を殺した
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