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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
四十三話 因縁
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なかったんだ!忘れてたよ。」

 天狗の一族との事を諏訪子に説明するのをすっかり忘れていた。そうだついでだから文も畳屋に誘うか。

「文ちょっと付き合ってよ、一緒にお茶でもしよう!」

 僕は持ちうる限りの最高の笑顔で文にそう声をかけたのだが、文の視線は……とんでもなく冷たいものだった。




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 何だかんだで諏訪子と文と共に畳屋にやって来た僕達は店内の入り口側の席に付き店番をしていた秀介に注文を頼んだ後、諏訪子が居ない間に起こった事を説明した。

「ふ〜〜んそんな事があったんだ」

 お茶を一口啜った諏訪子は対面に腰掛けている文に視線を送りながらそう口にする。文の方はお茶には口を付けず姿勢を正し諏訪子に対し礼をとっていた。

「後で我等が長の天魔様が挨拶に伺う筈ですが私からも言わせて頂きます、これからお世話になります諏訪子様」

「そんなに堅苦しい事しなくてもいいよ」

 頭を下げる文に諏訪子はケラケラ笑いながらそう言うが、そう声をかけられた文は表情を崩すことも無く変わらず無表情のままだった。
 少しして秀介が団子の盛り合わせを運んでくると諏訪子はそれを遠慮無く手に取り次々に消費していく。僕も団子を手に取り口に運ぶのだが文は全く手を出さない、遠慮をしているのか只単に食べたくないだけか。
 僕は手持ちぶたさになっている文に気になっていた事を聞いてみる事にする。

「文ちょっと聞きたいんだけど、天狗って普段何をしてるんだい?」

 天狗は閉鎖的で一体どんな生活をしているのか殆ど分かっていないのだ。これから郷で一緒に暮らして行く上でそういう事は知っておきたい。
 文も僕の意図を理解したのか一つ息を吐いた後説明を始めた。

「…我々天狗が閉鎖的な事は御存知だと思いますが、別に他種族に興味を持っていない訳ではありません。いえ寧ろどの種族よりも他種族に興味を抱いていると言えます」

 文のその言葉は僕達にとって衝撃的なものだ。天狗は閉鎖的、排他的というのは常識と言ってもいい。その天狗が他種族に興味津々だと言われて驚かない方がおかしい。

「でもさ街や森で天狗を見た、って言うのは聞かないよね虚空」
 
 僕の隣りに座っていた諏訪子が半信半疑と言った感じで僕に視線を向けながら問いかけてくる。僕は諏訪子の意見に同意し首を縦に振ると文が説明を続ける。

「私達は基本的に相手の前に姿を現しません。代わりにこういう物を使います」

 文はそう言うと背中の翼から羽根を一つ取り何やら呪文の様な物を唱える。すると文が手に持つ羽根が形を変え、翼の色と同じ黒色の雀のようなモノに変化した。

「これは私の分身の様なも
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