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オズのモジャボロ
第七幕その一
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            第七幕  飴の川
 兎の人達に暫しの別れを告げてです、一行はさらに南に進みました。周りは赤いカドリングのそれが続いています。
 その赤の中で、です。ドロシーがふとモジャボロに言いました。
「狐の国だけれど」
「懐かしいね」
「驢馬の国もね」
「そうだね。ただね」
 ここでモジャボロはこう言うのでした、複雑な表情になって。
「僕は驢馬の国ではね」
「ええ、頭がね」
「驢馬のものにされたからね」
「ボタン=ブライトは狐でね」
「まさかああなるなんてね」
 とてもだったというのです。
「思いも寄らなかったからね」
「あの時はびっくりしたわね」
「全くだよ」
 その時のことを思い出しながらお話する二人でした。
「やっぱり僕にはこの頭だよ」
「人間のね」
「これが一番いいよ」
 こう言うのです。
「やっぱりね」
「そうよね」
「あの時はびっくりしたけれど」
 それでもだとです、モジャボロは複雑な表情をここで明るい笑顔に変えました。そうして言うことはといいますと。
「今はね」
「いい思い出よね」
「そう、今はね」
 そうしたものになったというのです。
「懐かしいね」
「あの時がモジャボロさんがオズの国に来た時だったから」
「あの頃はオズの国も今よりは小さくてね」
「そうそう、今よりもね」
 死の砂漠がオズの国がある大きな島の岸辺にまで達してです、島にある全部の国も囲んでオズの国に入れたからです。オズの国は大きくなったのです。
「だから驢馬の国もオズの国の外にあったね」
「他の国もね」
「ミュージッカーさんもね」
「あの人もお元気かしら」
 ミュージッカーの名前が出てドロシーはこうも言いました。
「最近お会いしていないけれど」
「この前の旅で会ったよ」
「それでどうだったの?」
「うん、とても元気だったよ」
「それじゃあ今もなのね」
「そう、身体から音楽を出しているよ」
 だからミュージッカーなのです。この人は身体から音楽をいつも出しているとても賑やかというか騒がしい人なのです。
「本人は楽しんでいるよ」
「それは何よりね」
「あの人はどうなのかな」
 ここで微妙な顔になってです、モジャボロは言いました。
「チョッキンペット嬢と狐の王様、驢馬の王様には招待状を出したしこれから出すけれど」
「それでもよね」
「うん、あの人にはどうかな」
「あの人が来てくれるのならね」
 それならと言うのでした、ここで。
「お渡ししようかしら」
「ドロシーはそうした考えだね」
「そう、皆来てもらった方がいいじゃない」
「そうだね、それじゃあね」
 こうしてです、ミュージッカーにお会いしたらとお話するドロシーでした。そうしたことを決めてなのでした。

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