SAO編
第二章 曇天の霹靂
4.鏡裏の黒幕
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館の主《シャグリン・ザ・ノーブルヴァンパイア》との戦いは既に五分近く経ちました。
私の鞭によるソードスキルは対象に状態異常を付与する効果が強い代わりにダメージ量は期待できません。
対してチマの両手用大剣は高い攻撃力を持っていますが、一撃一撃の威力が高い代わりに連発は苦手です。
私がノーブルヴァンパイアの動きを阻害し、チマが高威力を与える。
その連携は十分に効果的でしたが、問題は相手の驚異的な自然治癒力でした。
HPバーの半分を削るチマの一撃に対し、たったの十五秒で全回復するのはもはや卑怯と叫びたいほどです。
私たちは回復させる暇を与えないように絶え間無く攻撃を仕掛けましたが、ニメートルを越える巨体を感じさせない身軽なフットワーク回避と、万全な状態なら必ずこちらのソードスキルに合わせてくる細剣スキルでの弾き防御に、未だHPバーの一本すら削れていない状況が続いています。
「レイア、聖水!」
「う、うん!」
ボスとの戦闘前に武器にかけていた聖水バフの効果が切れました。
すぐにウエストポーチから聖水を取り出して自分の得物にかける。
再び淡い白光を纏った鞭で、即座に行動阻害系ソードスキル《バインド・グラスプ》を放ちます。
ライトグリーンの光を纏った鞭がノーブルヴァンパイアの足に絡み付いてその動きを拘束する。
――あ、ダメっ。
しかし、バシャン! という破砕音と共にすぐに強制的にスキルが解除されてしまいました。今の私の筋力値とスキル熟練度ではノーブルヴァンパイアを拘束できるのはたったの二秒程度のようです。
これでは一瞬のスキしか作ることが出来ないですし、強制解除の硬直時間を考えればデメリットの方が大きい。
――この方法もダメ。
私の持つ鞭ソードスキルの効果、そしてチマの持つ両手用大剣ソードスキルの効果。
二人の技の組み合わせを何種類か試しましたが、ノーブルヴァンパイアの三本あるHPバーを全て削れるまでの連携はまだ見付けられていません。
『ガ、ゴ、ゴ……チ、ヲォォ!!』
「ぅわおッス!」
とはいえ、絶望的かと問われれば答えは否でした。
敵の攻撃手段はレイピアのソードスキル、そして噛み付き攻撃。
私が遠距離からの援護すればソードスキルを妨害出来ますし、噛み付き攻撃はタメが大きいうえに近付き過ぎないとしてこないので、適度に距離を保てば問題ありません。私たち二人ともHPバーは未だ余裕のある安全域。
極力戦闘を避けてきたお陰で聖水のストックは十分にありますし、いざとなれば入ってきた扉から撤退することも出来ます。
相手も、こちらもHPを削れない状態。
でも、だからこそこの膠着状態は早く脱したいと感じ
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