暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代U
禁断の果実編
第66話 ひた隠して
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釘を刺したのだ。

「――了解」

 全てを呑み込んだ上で、光実はあえて冷たい声で返事をした。





 光実はメールにあった待ち合わせ場所でシドと密会し、真意を悟られることなく無事仲間になることができた。
 ビートライダーズと優等生の二重生活を送ってきた光実だ。ユグドラシルの一員と裏切り者、二つの仮面を使い分けることなど造作もなかった。


 そしていざシドと二人でヘルヘイムへ赴いて、あまりにも早い邂逅を果たした。
 全身を翠に覆われた、女型のオーバーロードに。

(赤い奴だけじゃなかったのか。他にも大勢いるかも。生き残りが1体だと思った僕の落ち度だ)

『お前タち、禁断の果実ガ欲しイのカ』

 言うなり、翠のオーバーロードは杖槍から青い炎を放った。ヘルヘイムに入った時点ですぐ変身していた龍玄とシグルドは、青い炎を避け、ソニックアローとブドウ龍砲を同時に打ち込んだ。

 シグルドが弓で斬りかかり、彼が離れた隙に龍玄がブドウ龍砲を撃ち込む。ドライバーの性能差を考慮に入れての前衛と後衛だ。

『こりゃあもしかして』
『二人がかりなら、何とかなるかも』

 即席のコンビネーションが功を奏してか、翠のオーバーロードを押し始めた。だがこの戦果に光実はむしろ不吉なものを感じていた。

(いくら2対1とはいえ、“森”の侵略の生き残りがこんなに簡単に僕らで何とかなるものか?)

 ついに翠のオーバーロードは膝を突いた。畳みかけようと龍玄がカッティングブレードに手をかけた時だった。
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