暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
蒼き魔女の迷宮篇
21.迷宮の真意
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ォリアを下ろす。

「ほ、本当に暁古城なの……わけがわからないんだけど!?」

 監獄結界が出現しそうなこの状況で援軍に来た紗矢華は驚きから立ち直れない。
 でも、今はそんな状況を気にしてるわけにもいかない。
 優麻のほうへと向き直り彩斗は駆けた。
 ラ・フォリアと紗矢華の攻撃で魔女の“守護者”は大きく数を減らしていた。今なら優麻に軽々近づける。
 だが、その時だった。獣の咆哮が響いた。

「なっ……!?」

 その瞬間、武器化しいた梟が眷獣へと姿を戻す。咆哮に反応して自らの意思で武器化を解いたのだ。
 その咆哮に友妃と紗矢華以外は聞き覚えがあった。
 咆哮の主は、彩斗が考える前に姿を現した。暗闇の中、真っ赤な二つの光。その周りを揺らめく陽炎のような漆黒の体毛。
 その姿は間違えなく模造天使(エンジェル・フォウ)の時に現れ、彩斗を再起不能に陥れた漆黒の犬の眷獣だ。

「どうして、あいつがここに!?」

 さらに次の瞬間、濃密な魔力が優麻から流し込まれ、魔導書が発光した。
 大気を軋ませる轟音が爆風とともに襲いかかる。
 爆風の源は、絃神島北端の海上。そこに突然、見たことない島が浮かび上がる。
 小島だ。島の直径は二百メートル足らず。高さは八十程度。人工的に造られた聖堂のようだ。

「なるほど……LCOの狙いは監獄結界の解放か」

 背後から嫌気な声が聞こえる。

「叶瀬賢生……!?」

 声の主は、僧衣のような黒服を着た中年男性だ。
 ラ・フォリアは叶瀬賢生の技術を利用してキーストーンゲートに来たのだろう。
 だが、今は監獄結界や二人の魔女よりもまずいやつを相手にするべきだ。

「古城、姫柊、逢崎! 優麻と監獄結界のことは任せるぞ」

 漆黒の獣のほうへと身体を向き直す。すると背後に誰かが経つ気配がする。

「古城君、雪菜、優麻ちゃんのことは任せたよ」

 友妃は当然のように彩斗の背後に立ち、銀の刃を上空で揺らめく漆黒の獣へと向ける。

「逢崎、おまえ……」

 友妃はいつもの無邪気な笑顔をこちらに向け、当然のように言う。

「ボクは彩斗君の監視役だからね」

「はぁー……」

 深いため息が漏れる。
 それとともに安堵の笑みがこぼれる。

「行くぞ、逢崎!」

「うん!」

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