暁 〜小説投稿サイト〜
SWORD ART ONLINE ―穿つ浸食の双刀―
03:昔話
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「えっ、ハリン君は昔攻略組だったんですか!?」

迷宮区の一部にある《安全エリア》で唐突に大声を出した少女、オウカは、身を乗り出しずいずいと顔を近付けてくる。何故こんな話しになっているかと言うと、オウカのレベリングを手伝っている最中の話しになり、「どうしてそんなに強いんですか?」と聞かれて「昔攻略組だったから」と答えてしまったせいだ。攻略組と言えば精鋭中の精鋭、中層、下層のプレイヤーからすれば希望の光と言っても過言ではない。当然、自分から「攻略組です」と名乗ればこうなるだろう。

「でも、《昔は》、ってどういう事ですか?」

ぐっ??????痛い所を。まぁ確かに、そこには誰でも反応してしまうだろう。「今はどうなんだ?」となっても仕方ない。実際、僕が攻略組だったのは昔の話しだ。現在でもレベルは遥かに上だし、実力が上なのも確かだが。

「えっと??????隠してても仕方ないし、話すよ。僕が攻略組を抜けた理由を―――」


* * * * *


――その日は、第五十四層の略の日だった。前回の攻略はぐだぐだで乱れていて、犠牲を出さずに終えられたのは僕がいたからだと言っても過言ではない。それが評価されたのか、今回の指揮権は僕に委ねられた。当然僕はそれを誇りに思っていたが、他人はどうだっただろうか?

その頃の僕は、《完璧主義者》だった。いや、《自己中心的》の方が合っているだろうか。とにかく他人に自分の理想を押し付けていた。失敗すれば厳しい罵声を浴びせたし、成功しても当然だと吐き捨てた。そのせいか、攻略組の中での評判は悪く、話し掛けてくるのは同じベータ出身の少年――キリトくらいだった。

攻略の会議を行った日、僕は自分が立案した無茶ぶりな作戦を提示した。当然、非難の声や糾弾する声は絶えなかった。しかし、僕はそれを「それは君達が実力不足だからだろ?」と言って無理に納得させた。

目に見えた結果、とでも言うべきだろうか、その攻略での損害は前回の攻略を上回ってしまった。僕は僕自身の提示した作戦の、自分の役割を難なくこなした。少年、キリトも、ぎりぎりではあるがこなしてくれた。でも、他のプレイヤーにはそれが出来ず、逃げ惑うばかりだった。地獄絵図。その時の攻略風景を表すにはもってこいの言葉だった。翻弄され、攻撃もまともに通せず、一時は壊滅にまで追い込まれた。僕はそれに対して、こう言ってのけた。

「情けないね。君達は、屑中の屑だよ、攻略組として恥じなよ」と。

プレイヤー達は当然それに黙っておらず、五十四層のボス部屋には耳をつんざく程の怒声が響き渡った。
「死ね」、「何様だ」、「お前が恥じろ」、「攻略組辞めろ」、「お前が指揮しなけりゃこうならなかった」、それ等全てが僕に浴びせられた。居心地が悪くなった僕
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