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【短編集】現実だってファンタジー
俺に可愛い幼馴染がいるとでも思っていたのか? 中編
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―――貴方が悩んでいるのは知っている。

きっと毎日のように苦しんでるんだと思う・・・私の所為で。

私がいなくなれば、全部解決するのかな。

でも、それは駄目。貴方の幸せと私の望みを天秤にかけて、片方を捨てるなんて。

そんなのは、選べるわけがないよ。


だから―――ごめんなさい。



 = =


昼休みに食べられなかった弁当は、5限目で食べるべきである。これは万物の理にして、慣習的生物的観点からも正しいと言えるものである。栄養補給の唯一の手段と言っても過言ではない食事という行為を行わないなど、生きとし生けるものとしては考えられない死に向かう行為だ。俺は即身仏でも仙人でもないから霞を喰って生きている訳ではなく、当然に食事は必要なのである。

「そう、つまり俺が遅弁していた事には合理性があり、説教を喰らう謂れはないと主張します」
「その意見は却下します」

にこりと優しい笑顔で人の意見をばっさり切り捨てる国語教師の中村先生。ちょっと頬がこけているのがチャームポイントで、教師人の中でも身長が高めで人の良さそうな微笑を浮かべている・・・が、中村先生は一度駄目と言ったら絶対駄目なタイプの人である。
他の教師ならば屁理屈の通る人もいるのだが、この人は自分の中で確固たる価値観があり、それに即してイエスとノーを即決する、頑固者だ。許してくれる範囲さえ見極めればそこまで厳しくもないのだが、こと規律に関してはちょっと真面目すぎると思う。

そしてそんな真面目すぎる先生に外の非常階段で弁当を貪っている所を発見された俺は、目出度く自習室に閉じ込められて反省文を書かされているのだ。反省してないけどね。いっそ逃げようかとも思ったけど・・・先生ってば全力疾走の自転車にも追い付くくらい足速いんだよなぁ。

「別に弁当を食べること自体は否定しません。若いんですから空腹が辛くて授業に集中できない事もあるでしょう。しかし君・・・弁当を食べていることを理由に教室にすら来ないというのは単なる無断欠席ですからね?せめて一言掛けてください」
「そこを何とか・・・!」
「駄目駄目。君みたいな子はこっちが妥協を見せると別の事まで理由をつけて責任逃れしようとするんだから」
「酷いぞ先生・・・俺のことを信用してないな?生徒を信じない教師なんて大人失格だ!」
「いいえ、面倒くさがりの君なら絶対に私の発言を利用するだろうと信じているが故です」

苦笑する先生は俺の魂胆を完全に見透かしていた。ぎゃふん。
俺が面倒くさがりなのは全く否定できない。先生は僅か一か月の付き合いで俺のことを熟知しているという訳だ。僅か一か月で俺の幼馴染を名乗るあいつのように。

では、2人の違いは?先生もいりこも出会ったのは高校に入ってからだ。そして二人
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