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宇宙を駆ける一角獣 無限航路二次小説
第三章 三話 オオハラの野望
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ユニコーン ブリッジ

ネージリンス・ジャンクションからエルメッツァ星間国家連合へとやって来たユニコーンのブリッジでは、ブリッジクルー達と艦長の白野が集まって今後の展開について討議を行っていた。
来たはいいものの海賊退治以外にはさしたる目的もなく、このままでは余暇を持て余す可能性が出て来たからである。

「さて、どうする?ハッキリ言うと、エルメッツァはカルバライヤのように資源が豊富な訳でもネージリンスのように大マゼランとの交流が盛んで技術が進んでいるわけでもない。良きにしろ悪しきにしろ特徴が無い。得るものは少ない気がするが…」

白野がこう言うのも無理はない。エルメッツァは元々小マゼランで最初に勢力拡大に成功した国家ではあるが、その拡大の主因は資源力や技術力に起因するところは少なく、歴代の執政担当者やネゴシエーターが大国らしい老獪な交渉を執り行い、カルバライヤ、ネージリンスの両国との関係を有利に進め、大マゼランとも交渉力でならタメを張ってのけたからである。
カルバライヤが資源力、ネージリンスは技術力、そしてエルメッツァは政治力。この三国がそれぞれの特色を持っていたからこそ現在のような体制が確立されている。
だが、宇宙を縦横無尽に駆け巡る0Gドッグにとって政治力など晴れた日の傘程度の価値しかない。
まず自分個人がそこにあり、政治的な立場などはそれに影をつけるだけという認識がほぼ全ての0Gドッグの共通するところである。
そんな物、一顧だにしない白野であった。

「確かに、エルメッツァで今更私たちが得る物はないでしょうね」

そう発言して白野の意見に賛意を示したのは、主計担当のバウトであった。
彼は、経済という視点からエルメッツァとユニコーンの間に生じ得るかもしれない利益関係を計算し、実のところ金とは関係ない次元での利益を見出したのである。

「しかし、エルメッツァは小マゼランでは一番の大国です。それに応じて、相応の人材が集まっている可能性はあります」

つまり、ユニコーンの運用に携わるメインクルーの募集の提案である。

「以前、ネージリンスの首都星でパイロットを集めたでしょう?それと同じことです。ユニコーンの運用を十全の物とするなら現在のクルーのほかにせめてブリッジクルーの充実が必要でしょうね」

「賛成だな。レーダー監視の専門要員がいてくれた方が、俺も助かる」

バウトに賛成したのはオペレーター兼レーダー監視のゲイケットである。元々彼がレーダー監視まで兼ねているのは純粋に人手不足だからである。ゲイケットは実に優秀で、二つの業務を遅滞なく行い今まで決して滞らせることはなかったが、それが負担がないということとイコールではないことは白野も承知している。

「俺も砲撃の時の運用員がいた方がいいな。頼むぜ艦長」
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