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最終回
第四章
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第四章

「あの二人が作品を歪めたんだぞ」
「何があっても許すか」
「家に火を点けてやる」
 最早感情論どころではなかった。その彼等にだ。
 一方は呆れながらも。こう言った。
「じゃあそのままシリーズが終わってもよかったんだな」
「そう言うんだな」
「ああ、そうだ」
「名作の前には何もいらないだろうがよ」
「こりゃどうしようもないな」
「話にならないぞ、この連中」
 ネットでは路線変更以降延々と罵り合いが続いていた。最終回まで続いていた。それが収まる気配はなく長期戦の様相さえ示していた。
 だが時間は止まらない。遂に最終回となった。
 全てが終わってだ。まずスタッフ達とプロデューサーはほっと胸を撫で下ろした。
「やれやれ」
「やっと終わったよ」
「本当にな」
 肩の荷が下りた顔であった。
「それじゃあ次の番組だな」
「ああ、かかるか」
「気持ちを切り替えてな」
「そうしような」
 騒動が終わったといった様子だった。そうしてである。
 脚本家はだ。もう家で次の作品の脚本を書いていた。
「よし、これでいいな」
 煙草を咥えながら自分の書いているものを見ていた。彼にとっては自分の仕事を終わらせてだ。満足した面持ちで次の仕事にかかっていたのだ。
 その夜にはだ。マンションで打ち上げが行われていた。
 そこでだ。彼はうんざりとした顔でマネージャーに話していた。その手にはグラスがある。そこには焼酎がロックで入っていた。
 彼はそれを飲みながらだ。言うのだった。
「何かねえ」
「やっぱり不満ですか」
「あのままいけばよかったんだけれどね」
 こう話すのだった。
「本当にね」
「けれどそうはいきませんでしたね」
「残念だよ」
 ぼやく顔だった。
「お陰で酒がまずいよ」
「まずいですか」
「うん、まずい」
 これが彼の言葉だった。
「とんでもなくね」
「それじゃあ次はですね」
「次は?」
「美味しいお酒を飲みましょう」
 ここでも彼を宥めていた。
「そうしましょう」
「次の仕事でかい」
「はい、次があります」
 これがマネージャーの意見だった。
「次がありますから」
「次かい」
「もう次の仕事は入れてますから」
 マネージャーにしてみても彼の機嫌がよくなってもらうことに越したことはない。それで彼に気付かれることなくフォローを入れるのであった。
「ですから」
「わかったよ。それじゃあね」
「はい、次の仕事に」
「かかるとしよう」
 こうしてだった。彼は何とか次の仕事に考えを向けた。不平を胸に抱いたまま。
 ネットではだ。最終回についても議論というよりかは罵り合いが続いていた。それはもうどうしようもない有様であった。何処までも醜い。
「プロデューサーも脚本
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