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【短編集】現実だってファンタジー
俺に可愛い幼馴染がいるとでも思っていたのか? 前編
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延年、面貸せ。久々に・・・キレちまったよ・・・」
「ででででで田楽さんの間接キスだけでなくおおおohuromadedededeededed・・・・・・・」

ゆらーりと嫉妬に狂う男達が立ち上がる。俺と彼女が一緒に登校していることが気に食わない連中とか、いりこファンを自称する連中とか、ユリィな子も若干名混ざっている。沸き立つ殺意は極上品であり、俺を殺すために目をらんらんと輝かすその姿は10人が10人怖いと思うだろう。
ゲットレディ、これより撤退行動に移る。エネルギーバイパス解放、FCS解禁、ECM正常作動。パワーレベルをクォーターからマックスへ、逃走ルート確認。これより任務を遂行する、オーバー。

「・・・自由への逃走作戦スタート!!」
「「「「待てゴルァァァァァァ!!!」」」」
「うう、余計なこと言っちゃったよぉ・・・」
「ねーいりこちゃん。お風呂の他には何やったの?ぜひぜひ聞かせてもらいたいなぁ♪」
「というか間接キスに抵抗なかったわけ?」
「いや、チューなら前にもしたこ・・・」
「うおーい!?お前は暫く黙ってろ馬鹿!!」

まさかの罪状追加らしい。おのれ皆の記憶の中の俺、既にファーストキスを女の子に捧げているとはげに浅ましき男よ。相手がアレだけど。言うまでもなく俺の記憶的には、ファーストキスはまだである。まだ、だよな?俺の認識する事実の中ではまだだ。だがあいつの認識する事実の中では終わっていて、つまりシュレディンガーだ。開ける箱が無いから中身は確かめられないが。

かくして俺の休み時間はこの馬鹿どもからの逃走に全てを費やされ、昼の弁当は授業時間中に処理する羽目になった。俺は悪くない筈だろう・・・おのれいりこ、人の皮を被った悪女め。
 
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