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Element Magic Trinity
救世主
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避けるほど体力はない。防げるほど魔力はない。
本当の意味での、終わりだ。

(ティア・・・)

ヴィーテルシアは、最後に思い出す。
青い髪を靡かせ、青い瞳を向け、薄く微笑む相棒の姿を。
つられる様に、ヴィーテルシアも微笑んだ。

(お前に会えて、幸せだった・・・)

最後に会えない事を寂しく思いながら、ヴィーテルシアは瞼をゆっくりと下ろす。
砲撃はすぐそこまで迫っていた。
――――――――だが。

「!」

ヴィーテルシアと砲撃の間。
そこに、人が入り込んできた。
その姿を見たヴィーテルシアは、目を見開く。

「あれは・・・」

その名を呟こうとした。
が、それより早く、その人物が行動に出る。







「三重魔法陣・・・鏡水!」







魔法陣が三重に展開する。
その魔法陣目掛けて向かって行く水の砲撃は、魔法陣に当たって“跳ね返った”。

「なっ・・・」
「何事デス!?」

ルナとセスも何が起こったのか解らない。
ふわり、と魔法陣が消え、その人物の姿が明らかになった。
――――明らかになった、と言っていいのか解らないが。

「お前は・・・」

ヴィーテルシアが小さく呟く。
そこに立つのは、男だった。
腕や脚はもちろんの事、顔さえも覆面で覆った姿。僅かに見える目元の、鋭い瞳。
杖をその手に握り、真っ直ぐにルナとセスを睨みつけている。

「本来なら、裏で動くだけのハズだったのだが・・・ギルドの仲間の危機は見過ごせん」

その、圧倒的な魔力。
全身を覆った明らかに怪しい容姿でありながら、絶対的な信頼を置ける存在。
安心したヴィーテルシアの目には、涙が浮かんでいた。

「来て・・・くれたのか・・・」

男は何も言わず、ただこくりと頷く。
絶対的な安心に包まれたヴィーテルシアは、救世主である男の名を呟いた。














「―――――――ミストガン」
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