暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
遭遇-コンタクト-part1/メイドのピンチ
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、ゼロを恐れる者よりも、彼をたたえる人々の方が多かった。
『始祖の遣わした聖戦士』『始祖ブリミルの化身』、彼への印象は様々だった。しかしいかに始祖が遣わした存在であることが本当だったとしても根拠がない以上疑いもするのが人間。本当に味方でいてくれるかわからない。トリステインの貴族たちは復興作業を平民の土木作業員や土のメイジたちに頼む一方、他国に怪獣の情報を与え、対怪獣兵器の開発など、各国が連携し犠牲を0に近づけるためにも怪獣を討伐できる環境を整えようと、ハルケギニア各地へ伝令や鳩を飛ばした。ただでさえ古いしきたりに拘ったり私腹を肥やすことで自ら国力を低下させている小国トリステイン、他国からの助力は必須だった。

少し時を戻そう。それはサイトがこの世界に召喚される一か月ほど前のことだった。魔法学院の学院長室を、一人の貴族が訪ねていた。
口元に先端がクルリと丸まったちょび髭を生やし、派手な衣装を着飾っている、まさに平民が想像する貴族を絵に描いたような男性だ。トリステイン貴族の伯爵『ジュール・ド・モット』。二つ名は『波動』の水のトライアングルメイジだ。
「学院のご理解とご協力に感謝いたします」
「王宮の勅命に理解も協力もないでな」
「では」
学院長と型通りの会話を交わし、彼はマントを翻して退室する。出てきたところで視界に一人の女性の姿が入る。学院長の秘書を務める、緑色の長髪を後ろで束ねたメガネの女性、ロングビルである。
「オールド・オスマンもなかなか人を見る目がある。相変わらずお美しいですな。近いうちに食事でもどうです?ミス・ロングビル」
見目麗しい女性を習慣のように口説きにかかる貴族だが、その視線は彼女というよりも、彼女の持つ豊満な胸に注がれていた。どうやら、かなりの色好きのようだ。
「…それは光栄ですわ、モット伯」
「うむ、楽しみにしているよ」
その視線に気づきながらも、ロングビルはあえていつも通りに丁寧な応対を返した。モットはそのまま彼女の隣を通り抜け、ゆっくりと去っていく。
「…フンッ」
彼の後ろ姿が見えなくなったのを見計らい、彼女は汚らわしいとばかりに鼻を鳴らした。どうやら、かの伯爵は大分嫌われているようだ。
そんなロングビルの嫌気など露知らずのモット伯爵は帰りの馬車へと向かう。ふと、彼の目に一人のメイドの少女が目に入る。ハルケギニアでは黒い髪と目は非常に珍しかった。しかも髪は艶もあり、顔だちも貴族の令嬢にも引けを取らない美少女。モット伯爵はにやりといやらしい笑みを浮かべた。
「久しぶりの、上玉の娘か。くく…」

伯爵が学院長から去ると、ロングビルは何の目的で彼が訪問してきたかを問うてきた。
「王宮は、今度はどんな無理難題を?」
「まぁ強いて言うなら、くれぐれも泥棒に気をつけろと勧告に来ただけじゃな」
「泥棒?」
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