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鎮守府にガンダム(擬き)が配備されました。
第1部
第1話 我、帰還ス
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8月10日 太平洋上空 大気圏
エインヘリアル艦隊 旗艦リンドヴルム
メインブリッジ

唐突に鳴り響いたアラートが艦隊を包んだのは、艦隊が地球の大気圏を突破した直後だった。

「なんだ?? 各員状況報せッ??」
「リンドヴルムのFCS、レーダー、GPS、共にオフライン??
各所にて電装系の不具合が発生していますッ??」
「ユグドラシル、ヴィドフニル、共に通信不能ッ??
通信網断絶ッ?? 両艦とのコンタクト出来ませんッ??」
「ミノフスキー粒子か??」
「不明ですッ??」
「っ……レーザー通信から光信号に切り替えろッ?? バリュートシステムの分離は問題は無いな?? 両艦にもう一度コンタクトを取れッ??」
「「了解ッ??」」

副長席から惨状を見ていた俺は、ブリッジから腰を上げた。

「ラトロワ、念の為に艦隊に第二警戒態勢を出せ。
状況が妙だ、用心しろ」
「…わかった。
全艦隊に通達ッ?? 第二警戒態勢発令ッ??
繰り返す、第二警戒態勢発令ッ?? 総員持ち場に着けッ?? FCSの復旧、急げッ??」
《ユグドラシルより光信号確認ッ?? 「命令受託、我、即応態勢ニ以降ス」、ですッ??》
《ヴィドフニルより光信号ッ?? 「命令受託、我、FCS復旧作業ヲ急グ」、ですッ??》

「妙な予感がする……」

言い知れぬ胸騒ぎを振り払うように、俺は右手首に結んだ紐を取り出す。
22年前、加賀に貰った髪留めの紐だ。
それを解いて、後ろ髪をキツく縛る。

(いや…駄目だ。 冷静に、堅実に、それでいて大胆に。
いつも通り、親父の言った通りにやればいい)

艦隊司令として、提督として……この艦隊の隊員の命を預かる指揮官として、全力で事に当たる。
その指揮官としての誓いを、今一度胸に押し込めた。


???


同時刻 太平洋上 日本近海
第1024鎮守府 正面海域
第1024鎮守府所属 第1艦隊
軽空母鳳翔


夏、蒸し暑い日差しは、あまり好きになれない。
あの日≠嫌でも思い出してしまう。

1年前、俺の息子が逝った。
肉片1つ遺さず、跡形も無く。

「止めてくれ、鳳翔」
「はい」

飛行甲板を潮風が吹き抜ける。
その吹き抜ける潮風に、手にした花束から花弁が舞い散った。
1年前のあの日、この場所で、死んだ不肖の息子。
結局、息子が俺との約束を果たすことはなかった。

「誕生日、おめでとう……一葉」
「……」

並走していた長門や木曾、そして鳳翔からも、艦娘達の花束が海に手向けられ、嗚咽や泣き声が聞こえてくる。

「うっ…グズッ……レディを泣かせるなんて……ううっ、男として最低よ……ッ??」
「…あたしのとっておきの秘蔵酒だよ、1本やるからさ……」
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