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オズのモジャボロ
第五幕その七
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「それもかなりな」
「やっぱりそうですか」
「うむ、特に牛肉がな」
 お肉の中でもこのお肉が一番というのです。
「いいな、切りがいがある」
「そうなんですね」
「では私は牛肉か」
「はい、それを切られるのが一番お好きなら」
 そうなるというのです。
「やっぱり」
「そうか、しかしある者は豚肉といいだ」
 ここで王様は難しい顔でこう言いました。
「鶏肉、羊肉に野菜に果物とな」
「それぞれなんですね」
「そうだ、どの者も自分達のものが一番だと言う」
 切るにあたってというのです。
「正直どれが一番かわからぬ」
「それぞれじゃないの?」
 こう王様に言ったのはドロシーでした。
「そこは」
「それぞれか」
「王様は大包丁よね」
「うむ、そうだ」
「大包丁ならお肉、それも牛肉を切ることに向いているから」
 だからだというのです。
「王様はそれでいいの。それで他の包丁さん達はね」
「それぞれの向きがあるのか」
「ええ、そういうものだから」
「では果物ナイフは果物か」
「そうなるわ、そこはそれぞれよ」
「では何が一番とかはないか」
「そうものだと思うわ」
 ドロシーは王様にお話します。
「ただ。王様が牛肉を切ることが好きなのはそれはそれでいいのよ」
「駄目ではないな」
「王様はその為の包丁だから」
「そういうことになるな」
「ええ、それで他の食器の人達もね」
 本当に色々な食器が周りにいます、すりこぎにしてもすり鉢にしてもです。ありとあらゆる台所のものがあります。
 そうした人達を見つつです、ドロシーは言うのでした。
「使い方があるから。お鍋で人参を擦ったりは出来ないじゃない」
「わしは鍋ですからな」
 その鍋の言葉です。
「無理ですぞ」
「そういうことよ。食器はそれぞれ使い方があるのよ」
「それでじゃな」
「ええ、王様もね」
 それでいいというのです。
「問題ないわ」
「そうなのか、よくわかった」
「ええ、ところでだけれど」
 ドロシーは王様達にお話した後で、でした。こう食器達にこのことをお話しました。
「今度エメラルドの都でオズマがパーティーを開くけれど」
「おお、オズマ姫がか」
「そうなの、それで貴方達もどうかしら」
 オズマ姫のパーティーに来るかというのです。
「よかったら」
「いやいや、我等はいい」
「ここにいたい」
「食器は食器のあるべき場所にいるべきだ」
「下手に外に出ることは好きではない」 
 だからだとです、食器達はドロシーに答えるのでした。
「だから招待は有り難いがな」
「遠慮させてもらう」
「そうなのね」
「うむ、気持ちだけ受け取らせてもらおう」
 王様はこうドロシーに答えました。
「そういうことでな」
「わかったわ
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