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Element Magic Trinity
少しでも前に進めたら
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瞳に、胸元のにっこり笑顔のブローチ。
可愛い子ね、とティアは小さく頷く。
それと同時に、こんな可愛い子に好かれておきながら気づかないってどういう事よ、とグレイに対する怒りがふつふつと湧き上がってきたのは余談だ。

「あ・・・す、すみませんっ!突然こんな事言われても困りますよね」
「いや・・・困りはしないんだけど」

ティアが何も言わず自分を見つめていた事を、自分が突然友達になってほしいと言ったからだと勘違いしたジュビアはペコッと頭を下げる。
その様子にティアは慌てた。
何でも平均点以上に熟すティアだが、人間関係に関わる事は最も苦手で、『気に触らないように喋る』とか『宥めさせる』とかが出来ないのだ。

「でも、はっきり言ってアンタは珍しいわ」
「え?」
「私と友達になろうなんて言うの、アンタが初めてなの。どちらかといえば、人に嫌われるタイプだし、私って」

今度はジュビアがポカンとする番だった。
目の前で少し悩むように小首を傾げる少女は、嫌われるようなタイプには見えない。
好かれそうな―――――特に、世の男性が放っておかなさそうなルックスと、奥が見えないが透き通った声。紛れもない美少女なのである(この時のジュビアは知らない。ティアの口の悪さを・・・)。

「嫌われるタイプなんですか!?こんなに美人さんなのに!」

ずい、と身を乗り出して驚くジュビアに、ティアも一瞬たじろぐ。
美人だと言われる事は多々ある―――――クロスとかクロスとかクロスとかに、だ―――――が、それが関わってここまで驚かれたのは初めてだ。

「・・・嫌われ体質なのよ、ガキの頃からずっと」
「え?」
「昔からそうだった・・・そして、きっとこれから先も」

晴れ渡る空を見上げて呟くティアは、遠い人に見えた。
手を伸ばせば触れられる距離にいるのに、触れようとした瞬間解けて消えてしまいそうな、儚い姿。

「・・・そんな事、ないです」

気づいたら、ジュビアは口を開いていた。
ゆっくりとティアの目線がジュビアへと戻る。
それを感じながら、ジュビアは続けた。

「ジュビア、思うんです。神様はいるって。そして、その神様は平等なんです」

明日起きたら、晴れた空が見られますように――――――。
そう願った事も、少なくない。
その願いを、年月はかかったが叶えてくれた。
ジュビアの言う、“神様”は。

「今ティアさんは嫌われてるのかもしれないですけど・・・ずっとそのまま、なんて事はないです。ないハズです。だってそんなの、平等じゃないから」

ティアは何も言わない。
ただ、信じられないモノを見るような目でジュビアを見ている。
その体が小刻みに震えている事には、2人とも―――――本人であるティアさえも、気づいていない。

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