暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代U
禁断の果実編
第70話 蛇と鍵
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言うの!?」

 舞がサガラに食ってかかろうとした。しかし、サガラが片手を舞に向けるや、舞は蛇に睨まれたカエルのように動かなくなった。
 慌てて踏み込んだ紘汰もまた同じ目に遭った。体が石のように固まって動けない。

「知恵の実を求めるあらゆる者を退け、勝ち残り、お前が世界を制するんだ。救うも滅ぼすもお前の自由だ」

 理に適っている――ように聞こえる。けれど、本当にそれでいいのか。オーバーロードの件で文字通り痛い目を見た紘汰は、すぐサガラの言葉に肯けなかった。

「やめて、紘汰っ」
「舞…っ」
「いやな、予感がする…っ紘汰を、言いくるめようとしてるっ」

 す、とサガラから愉快げな表情が消えた。蛇の目を、していた。

「――ただの親切じゃないってのは確かだ。俺はあくまで俺の都合で動いている」

 サガラは席を立ち、テーブルにロックシードを置いた。
 今までのロックシードとは異なる。それは錠前ではなく、鍵の形をしていた。金地に色とりどりの果物のモチーフがあしらわれた、鍵。

「紘汰を、利用してっ、何をしようとしてるの!」
「どう転ぶか分からない奴に、一番大きな力を預けたいだけだ。お前というジョーカーが、このゲームをますますスリリングに盛り上げてくれるだろう」
「紘汰、ダメだよ!」

 こうしている間にも、あの赤い災厄と、戒斗や咲たちは戦っている。街は一秒を刻むごとに危険地帯になっていく。晶や阪東や、チームの仲間がいる、大事な街が。

 全てを聞いて呑み込んだ上で、紘汰は、金の鍵を――掴んだ。

 サガラは満足げに笑みを浮かべ、消えた。


 ――その覚悟に、後悔がないことを祈っている。オーバーロードと同じ存在を目指すなら、その意味をよおく考えながら戦うことだ――
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