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美しき異形達
第九話 風の力その十
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「さっきまで楽しくお好み焼き食ってお喋りしてたんだぜ」
「そんなことは俺が知ったことか」
「知ってろよ、マナーだろう」
「マナーは貴様等の世界での話だ」
 だからだとだ、怪人薊達の上の十メートル程の場所で羽撃きながら言った。
「俺が知るか」
「怪人だからか」
「俺の目的はあくまで貴様等を倒すことだ」
「だから来たんだな」
「そうだ、覚悟はいいな」
「ったくよ、何の遠慮もねえな」
 棒を構えて上を見上げたままだ、舌打ちして言う薊だった。その横にいる菖蒲と菊はもうそれぞれの手に剣と忍者刀を出している。菊は左手にそれを逆手に持っている。
 その二人を横目に見てだ、そうして。
 後ろにいる裕香にだ、こう言った。
「裕香ちゃん、今のうちにな」
「ええ、桜ちゃんをね」
「いや、安全な場所に逃げてくれないか」
「二人でなの」
「桜ちゃんバイク持ってるからな」
 だからだ、そのバイクを使ってというのだ。
「一緒に安全な場所まで逃げてくれよ」
「じゃあ薊ちゃん達は」
「戦いが終わったら携帯で連絡するからさ」
 それでだというのだ。
「安全な場所まで避難してくれよ」
「そうしていいのね」
「戦える人間は戦わないといけないけれどな」
 だが、だ。戦う術を持たない者はというのだ。
「逃げないとな」
「それで私達は」
「すぐに帰るからさ」
 裕香に背を向けたままでだ、薊は笑って言った。
「待っていてくれよ」
「ええ、じゃあ」
「ああ、それじゃあな」
 薊は裕香に話した、そして。
 裕香は桜に顔を向けてだ、彼女にこう言ったのだった。
「今のうちにね」
「いえ、私も」
「えっ、私もって?」
「お友達を見捨てることは出来ません」
 にこりと笑っての言葉だった。
「ですから」
「まさかと思うけれど」
「私にはこれがあります」
 こう言ってだ、右手を一閃させるとだった。
 その手にあるものを出していた、それは菖蒲が持っている剣に似ているがまた違うものだった。それはというと。
 レイピアだった、菖蒲は桜が手に出したそれを見て言った。
「まさかと思うけれど」
「実は昨日今上におられる方とです」
「会っていたというのね」
「そこの女、昨日はしくじったけれどな」  
 烏の怪人もだ、ここで桜を見て言ってきた。
「今日はそうはいかないからな」
「私を倒すというのですね」
「昨日は急に呼び出しがかかったから帰ったけれどな」
「今日はですね」
「ああ、そういうのはないと思うからな」
 烏の目でだ、桜を見下ろしながら言ってくるのだった。
「決着をつけてやる」
「そうですか、ではおいで下さい」
 上を見上げたままだった、桜もまた。
 そのうえでだ、怪人に対しても穏やかな微笑みをうコアベタま
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