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オズのモジャボロ
第五幕その六

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「この子達はね」
「ふむ。まだ子供だな」
 大包丁、キッチンランドの王様が彼等を見て言いました。
「王女よりも年下かな」
「はい、そうです」
「僕達ドロシーさんより少し年下です」
「ベッツイさんよりもですか」
「一歳位年下です」
「それ位です」
「そうだな。知っていると思うがオズの国では皆歳を取らない」
 王様はかしこまった態度でお話します。
「だから王女達の実際の年齢と比べると話がおかしくなるが」
「身体的な年齢はですね」
 恵梨香が王様に応えます。
「私達は王女より下ですね」
「そうなるね。実はね」
「実は?」
「王女達がこの国に来た時は今より幼かったんだよ」
「あっ、そういえば」
 言われてです、恵梨香もこのことを思い出しました。
「そうでしたね」
「そうだよ、かつてはね」
「けれど成長されてますよね」
 ドロシーだけでなくオズマもベッツイもです、それぞれ何歳か成長していて小学五年生の恵梨香達より年上です。
「そうなっている理由は」
「その方がオズの統治者に相応しい年齢じゃないかしらってオズマが言ったのよ」
 ドロシーがその訳をお話してきました。
「それで私とベッツイも一緒に歳を成長させようってなってね」
「それでなんですか」
「そう、私達は成長したのよ」
 それが為にだというのです。
「そうした事情なのよ」
「わかりました、だからなんですか」
「若くすることも出来るわよ」
 成長する場合とは逆にというのです。
「私達がそうしようって思えばね」
「じゃあ私達より幼くなることも」
「そう、なれるわよ」
 ドロシーは恵梨香ににこりと笑ってお話します。
「そうしたこともね」
「便利ですね」
「便利かしら」
「はい、成長したり若くなれたりするなんて」
「ここはオズの国だから」
 不思議の国だからだというのです。
「そうしたことも出来るのよ」
「やっぱりここは不思議の国なんですね」
「そう、あちらの世界とは全く違うね」
「そういうことですね」
「さて、それでだが」
 恵梨香とドロシーのお話が一段落ついたところで、でした。王様がまた言ってきました。
「君達は包丁を切るにあたって何が一番いいと思うかな」
「包丁で、ですか」
「そうだ、何がいいかな」
「そう言われても」
 恵梨香は首を傾げさせて王様に答えました。
「難しいですね」
「すぐには答えられないか」
「はい、包丁によりますよね」
「では私なら何がいいかね」
「王様は大きいですから」
 大包丁だからだというのです。
「お肉でしょうか」
「肉だね、私は」
「はい、それも大きなお肉でしょうか」
「そうしたものを切ることは好きだ」
 王様もこう恵梨香に答えました。
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