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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 第6話 「大切な家族」
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シグナムは彼女に話しかける。

「何だ?」
「……もうちょっと考えたほうがいいと思うぜ」
「何をだ? もっと具体的に言え」
「軽くって言いながら本気で訓練するとかだよ。ショウが思い出しただけで疲れるって言ってるし」

 ヴィータがなぜシグナムに意識を向けたのか今の言葉で理解した。
 強くなる、と決めた俺はシグナムに時々でいいので剣術を教えてほしいと頼んだのだ。結果から言えば、教えるのは苦手だが練習相手くらいは務めようといった返事をもらうことができた。そのため、時間が合った時には剣を交えている。
 シグナムとの特訓はヴィータの言うとおり、軽くやっていても気が付けば本気に近いものになっていたりする。それは事件以前のときも同じだ。しかし、あのときと意識が違うからかそこまで苦に感じていない。

「疲れない訓練を訓練とは言わんだろ」
「そうだけどよ、ショウはまだ子供だぜ。子供相手にムキになるってのもどうなんだよ?」
「それは……」
「いいんだよ。俺から頼んだことだし……あいつと約束したから」

 今日の空は晴れている。しかし、空へと逝った彼女のことを考えるだけであの日の空が目に浮かぶ。
 あのときに感じた想いを忘れることはない。彼女との約束も理由ではあるが、俺自身もう誰かを失うのはご免だ。今すぐには無理だと分かっている。だけどいつの日か、大切なこの子や騎士達を守れるようになりたい。
 ――守ってみせるって言えないのが情けないけど……リインフォース、どうか見守っててくれ。
 ふと誰かに手を握られる。視線を向ければ、穏やかな笑みを浮かべたはやてがこちらを見ていた。

「焦って無茶だけはせんといてな」
「……あぁ、分かってるよ」
「ならええんや。わたしも魔法のこととか頑張って勉強するから一緒に頑張って行こう」

 にこりと笑っているが、その笑顔の下にははやてなりの覚悟があるのだろう。
 魔法と積極的に関わることを決めた彼女には、これから色々なものが待ち受けている。辛い目に遭う事だってあるはずだ。しかし、彼女は騎士達の主として逃げずに戦い続けるのだろう。
 ――頑張りすぎるなよ。
 と言いたい衝動に駆られるが、シグナム達の前でははやては強がっている時があるように感じるときがある。彼女もまた強くなろう、シグナム達の前では立派な主であろうと思っているはずだ。今はまだ言うべきときではないのだろう。

「……すぐに追い抜かれそうだから焦りそうだな」
「ちょっ、何で水を差すようなこと言うん。今のは綺麗に終わってもええとこや」
「綺麗に終わってたら終わってたで、お前は何か言うつもりだったんじゃないのか?」
「確かに。いつもなら何か言ってるのに、何で言わねぇんだみてぇに言いそうだ」
「ショウくんもヴィータもいけずや」


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