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不思議なスライム
溺れるスラ子

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スライムは泳げない。
あの体型で泳ぐのは、無理な話である。
では、水に浮くのか?
答えは・・・否!
あっさりと沈みます。
スライムと水。
相性が悪いとしか言えない。
人の姿になったとはいえ、泳いだ経験のないスラ子。

「キュプ!ゴポコボッ!キュー!」

案の定、溺れていた。
このままでは、地底湖の藻屑になってしまう。
助ける方法はないか!?
一方の蟹は、指から鋏を離し、逃げている。
逃げなくても平気だぞ。
スラ子は今、それどころじゃないから!

「ブクプクプク・・・キュフ!キュー!プグキュゴボッ!」

「・・・・・・・。」

っ!?
頭上から近づく怪しい影。
何者だ!?

「キュー!キュー!キュ?」

息苦しくない事に、スラ子は気がついた。
しかも、空中に浮いている。
いや、違った。
腰に触手のようなモノが巻きつき、持ち上げられていた。
下を見れば地底湖。
上を見れば巨大な目玉。

「キュ!?」

助けてくれたのは、虫系の魔物メーダ。
沢山ある触手のような手足、長い長い触覚、浮遊する不思議な身体。
1番の特徴が、大きな目玉。
ちょっと不気味な姿だ。

「・・・・・・・。」

「キュ、キュー。」

目玉の位置まで、持ち上げられるスラ子。
ま、まさか。
助けたのではなく、食べる為に捕まえた!?

「ジーーー(キミ、大丈夫かい)?」

「キュー。」

「ジーーーーー(湖は深いし、水は冷たいから、気をつけてね)。」

ふー、捕食じゃなくて一安心。
見た目と違って良い人、もとい良い魔物だった。

「ジーーー(スライム・・・だよね)?」

「キュー!」

人の姿をしていますが、立派なスライムです。
いや、ドジっ子なスライムか。

「ジーー(どうしてここに?)」

「キューキュー。」

ワカメを貰いに来た事を話すスラ子。
そう!
貰いに来ただけなのに・・・はぐれたり、挟まれたり、溺れたり。
ハラハラドキドキさせられる。
もう少し慎重に行動しよう。
野生は臆病で用心深い程、生き残る確率が高い。

「ジー(ワカメって、これ)?」

メーダは触手のような手足を1つ持ち上げる。





握られていたのは、巻物みたいになっているワカメだった。





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