暁 〜小説投稿サイト〜
プレジデント
第三章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後

第三章

 それは内政にも及んだ。貿易が進展しだ。
 内需も拡大した。それと共に国家のあり方を変えていきだ。
 アメリカの労働者の権利の保護も進めた。そうしてだった。
 アメリカは完全に立ち直った。経済だけでなく政治、軍事においてもだ。強硬でありしかも柔軟さも兼ね備えただ。そうした国になった。
 そのストーブンソンにだ。副大統領であるマイケル=ローレンスが尋ねた。ストーブンソンより二歳若い白人の男である。
 その彼がだ。彼の上司であるストーブンソンに尋ねたのだ。
「一つ宜しいでしょうか」
「何かしら」
「世論をどう思われますか」
 アメリカで最も大事なだ。それはどうかというのだ。
「プレジデントは」
「世論ね」
「はい。世論は当初プレジデントは柔和な方だと言っていました」
「そうだったわね」
 楽しげに笑ってだ。ストーブンソンも彼の言葉に応える。
「そうした評価だったわね」
「ですか実際は強硬派である場面が多いですね」
「そうかも知れないわね」
「そうした世論についてはどう思われるでしょうか」
「私としてはね」
 ストーブンソンは書類にサインをしながら言った。
「強硬派やそうしたことはね」
「そうしたことは?」
「どうでもいいことなのよ」
 こう言ったのである。
「あくまで国益を考えているだけよ」
「合衆国のですか」
「プレジデントだからね」
 それ故にだというのだ。アメリカの国家元首であるが故にだ。
「だから強硬な行動を取ることが多いのよ」
「それだけですか」
「そして時として融和的にもなっているわね」
「はい、時と場合に応じて」
「アメリカの国益になる場合にはね」
 ここでもこのことがまずあるというのだ。
「そうしているわ」
「もっと言えばアメリカの為を考えてですか」
 強硬になり柔軟になる。ローレンスもこのことがわかった。
「プレジデントとして」
「そういうことなのよ」
 そしてだ。ストーブンソンからだ、こう言うのだった。
「確かに私はアフリカ系で女性ね」
「はい」
 このことはどうしても否定できなかった。何しろストーブンソンを語るうえでまず来ることだからだ。
「その通りです」
「それでもそれ以上に」
「それ以上に?」
「プレジデントなのよ」
 それだというのである。
「この合衆国のね」
「だからですか」
「そう。だから合衆国にとって必要なことをしたのよ」
 そうしたというのだ。彼女は。
「合衆国の為にね」
「成程、ビジネスに徹したのですね」
「そうなるわね。プレジデントならね」
 そのだ。合衆国の大統領ならばだというのだ。
「合衆国の為に全力を尽くしてその国益を実らせることが仕事だから」
「そうですね。まさに」
「その前にはアフ
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ