暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代U
オーバーロード編
キカイダーコラボSP編
第35話 ミッチとジロー
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腰を下ろした。

 声をかけたのも連れ込んだのも光実自身。しかし呉島光実は紘汰のようにお人好しではない。ジローの記憶が戻るのを手伝ったりする義理はない。今の光実は考えなしに捨て犬猫を拾った子供のようなものだ。

 ジローを見つめる。ジローは光実のアクションを待っている。
 部屋に妙な沈黙が流れる。

 沈黙を破ったのは控えめなノック音だった。――この音の調子は。

「入っていいよ」
「おじゃまします。――ただいま、兄さん」

 ドアを開けたのは、やはり碧沙だった。ただいま、との挨拶通り、今しがた帰ったばかりの、コートも外していない格好。

「早かったね。てっきり咲ちゃんたちに捕まって質問攻めにされてると思った」
「つかまる前に帰ったの。咲に聞かれたら、きっとわたし、かくしてられないから」

 碧沙は部屋に入ってくると、ジローに目をやった。

「ああ。彼はジロー。僕の知り合いで――」

 考えておいた設定を言う前に、碧沙はジローに歩み寄って顔を寄せた。

「……鉄のにおいがする」

 本当に、この妹には敵わない。

「碧沙。ジローはロボット、機械なんだ」
「ロボット!?」

 碧沙がまじまじとジローを見つめる。その目はきらきらに輝いている。

「ロボットのお客さまなんてはじめてね。ようこそおいでくださいました。碧沙です」
「ヘキサ」
「はい。――光兄さんっ。ロボットのトモダチなんているなら、ショーカイしてくれたらよかったのに」
「ロボット自体には疑問持たないんだね」

 さすが我らが自慢の妹。光実はグッと親指を立てた。

「でもトモダチじゃないんだ。僕も今日会ったばっかりだから。連れて来たはいいけど、どうしようかって困ってた」
「光兄さんにしてはめずらしくケーカクセイがないのね。――やっぱり気にしてる?」

 光実は返事を苦笑に留めた。
 すると碧沙は、とんでもない提案をした。

「ねえ、ジローさん。行くあてがないんなら、ここに――兄さんのそばにいてくれませんか?」
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