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定年旅行
第六章
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第六章

「イタリアのオペラとはまた違うわね」
「似ている部分は多いけれどな」
「そうね。多いわね」
「言葉も似てるしな」
 慎太郎はここでこうも話した。
「イタリア語とスペイン語はな」
「そうね」
 夫の言葉を聞いてだ。妻も気付いた。
 彼女はステーキを右手のナイフで切りながら夫の言葉に頷いた。
「どっちの言葉もお互いにね」
「ラテン系同士だからだな」
「そうよね。どっちもラテン系だし」
 美和子もそのことを話した。
「親戚同士みたいなものだから」
「言葉も似るからな」
「だからそういう風に感じたのね」
「そうだな。料理は違うけれどな」
 慎太郎はそのステーキを食べながら言った。
「どっちも美味いけれどな」
「そうよね。ただね」
「ただ?」
「イタリアの話が出たけれど」
 美和子は今度はだ。イタリアのことを話すのだった。
「あの国もね」
「行ってみたいか?」
「そう思えてきたわ」
 次はだ。この国だというのだ。
「まだスペインにいるけれどね」
「そうだな。こうした旅行もな」
「いいものよね」
「本当にいいものだな」
 慎太郎は笑顔で美和子に話した。
「旅行って今までこれといってしなかったけれどな」
「あら、そうだったかしら」
「新婚旅行であれだろ。金沢に行っただろ」
 まだ二人が若い頃だ。もう遠い昔のことだ。
「その他に旅行っていったら」
「子供達を連れて海とか」
「そうした旅行は子供達が主役だからな」
「私達だけっていうのはね」
「なかったからな。けれどこうして二人で行く旅行も」
「いいものね」
「そうだよな」
 また美和子の言葉に頷く慎太郎だった。
「とてもな」
「そうよね。それでだけれど」
「それで?」
「今日はこれから何があったかしら」
 夫にだ。これから何があるのかを尋ねるのだった。
「名所も観たし闘牛もサルエスラも」
「それと美味い食事もな」
「お酒もね。後は」
「フラメンコだよ」
 夫はにこりと笑って妻に答えた。
「今夜はな。フラメンコだよ」
「私踊れないけれど」
「踊るんじゃない」
 それではないと答える慎太郎だった。
「観るんだよ」
「そっちなのね」
「ああ、それならいいだろ」
「いいわ。今夜はフラメンコね」
「それも楽しみなっただろ」
「とてもね。二人で観ましょう」
 彼女だけでなくだ。慎太郎もだというのだ。
 スペインのステーキを食べながらだ。美和子は彼に言うのだった。
「フラメンコもね」
「ああ、フラメンコもな」
「それで次の旅行も」
 その話もするのだった。
「観ましょう。これからもね」
「ああ、二人でな」
 笑顔でだ。こんな話をする二人だった。
 こうして二人に新しい趣味ができた
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