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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十九話 洗礼
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ばヴァレンシュタイン大将の政府における存在感はかつてない程大きくなるだろう。軍は好む好まないに拘わらず彼に近付かざるを得ない状況になる」
提督は憂鬱そうな顔をしている。話題を変えた方が良いかな?

「提督、学校でも皆が言っていますけど本当に和平なんて有るんでしょうか? ピンと来ないんですけど」
僕の言葉にヤン提督がちょっと困った様に笑った。
「そうだね、百五十年も戦争していたんだ、和平と言われても戸惑うのも無理はないかもしれない。でもね、ユリアン」
「はい」
提督が怖いくらいに真顔になった。じっと僕を見つめている。

「ヴァレンシュタイン大将は本気だよ。彼は本気で和平を結ぼうと考えている。そして彼が本気になったらそれを阻める人が居るとは思えない」
「……」
「私の考え過ぎかな、それなら良いんだが……」
ヤン提督が溜息交じりに呟いた。考え過ぎ? 何を? 訊きたかったけど怖くて訊けなかった。こんな事初めてだ。




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