暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
11:素顔を暴けば、こんなにも
[2/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ら、いい……。それで、他には何?」

 早く済ませたいのか、簡潔に言葉を続けるユミルにシリカは一瞬(ひる)みながらも、すぐに意を決したようにぐっと胸の前の両手を握った。

「あの、それから……あたし達はユミルさんのこと、一応……ちゃんと疑ってはいますからっ」

「…………え?」

 ユミルはようやく顔をシリカに向けながら、ただ純粋に意が解せない風に少し目を丸くして顔を傾げていた。

「あたし達は……あなたに犯人の可能性があると、ちゃんと受け止めています。それでもっ、あたし達はあなたと友達に――」

「待って」

 意味を把握したユミルの目がキュッと細められ、険しくなる。

「キミ、よくそんな立場でボクに言えたものだって、自分で分かってて言ってるの……?」

「はい、分かってます」

 対するシリカも今度は一歩も引かず、目に真剣みが灯る。

「自分勝手なのかも知れませんし、迷惑に思われてるかもしれません。それに、あたし達はユミルさんのことをまだよく知りません。だから、時と場合も構わずに友達になりたい、なんていうのは間違いなのかもしれないと思います」

「だったら……」

「――だからといって、それを無下(むげ)に断るのも間違いだとは思わないかな?」

「なっ……」

 いつに間にかアスナが席を離れ、シリカの横に立ち彼女の肩に手を添えていた。
 それを見たユミルの目が、ますます鋭くなる。

「またキミか……。キミこそあの時、あんな目でボクにレイピアを突きつけておいて、よくもそんなっ――」

「話をすり替えないで欲しいな。わたし達は前から重ねて質問してるのに……なぜ、あなたは逃げているの?」

「…………ボクは……逃げてなんか、ないっ……!」

 静かに立ち上がったユミルは、今度はしっかりとシリカ達を()め付け、向き直った。気に触れたのか、その静かな所作に反して声は低く、ただならぬ威圧感が感じ取れるが、それに対する二人は微塵たりとも揺らいではいない。

「いいえ、あなたは逃げている。だって、あなたはわたし達の質問に答えていないから」

「…………っ」

 ユミルは暫くの間アスナを睨んでいたが、その決意に満ちる姿に、これ以上の相手は無駄だと悟ったのか、表情はそのままで肩の力だけを緩めた。

「……もう何を言っても無駄そうだね」

 溜息と共に吐き出されたその言葉は一見、友達になるのを受け入れたかの様ではあったが、表情を見るにそういう意味ではないのは明らかだった。

「だけど、何度問われたって、ボクの答えも変わらない。ボクは、キミ達の友達なんかにはなれない。そんな安っぽい気持ちなんかいらない。何より、ボクはそんなキミ達が……――信じられない」

 有無
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ