暁 〜小説投稿サイト〜
幸せの箱探し
4章 【かくれんぼ】

[8]前話 [2]次話
 「ハァ…ハァ…ハァ…」

 僕は走り続けていた。

 「くそっ!……だめだ。」

 どうやらこの世界の建物の中には入れないようだ。扉や窓は固く閉ざされている。

 「いったいどこにいるんだ!」

 僕はふたたび走り出す。すると向こうに、女の霊がいるのが見えた。

 「やっと見つけた。」

 僕は全力で駆け寄り、背中にナイフを突き刺した。だが、それは残像だった。

 どこからか、声が聞こえてきた。

 〈ハハハッ!ざんね〜〜ん。ハズレだよ〜。〉

 憎たらしい、あの女の声だ。また僕は走り出す。

 「それにしても暑いな。」

 箱の中なのになぜか太陽があった。

 「……何故太陽があるんだ…?」

 僕は立ち止まり少し考えた。さっきから走り回っているのに見つからない。

 建物の中には入れないはず。そして何故か声が聞こえる。まるで近くにいるように……

 「…………。」

 そうだ。声が聞こえるのは近くにいるから(・・・・・・・)そうすれば、見つけられないのは

 隠れているからだ(・・・・・・・・)。そして太陽があるのは()を作るため。

 僕の考えが正しければ……

 「そこかっ!!!」

 僕は後ろに振り向き、自分の影(・・・・)の頭に思いきりナイフを突き刺した。

 「クッ……見つかったか……」

 僕の影が見る見るうちに女の霊の姿に変わっていく。

 「僕の勝ちだ。さぁ、早く元の世界に戻せ!」

 「チッ……まぁいい。するべき事はした(・・・・・・・・)。お前を元の世界に戻してやろう。」

 女の霊が僕の胸に手をかざすと、僕の体が光り始めた。

 「最後に聞きたい。お前は何故こんな事をした。」

 「お前も変わったやつだな。いいだろう、聞かせてやる。」

 そして女性の霊は、自分の生きていた時の事を話し始めた。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ