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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
七月二十日:『千里の道も一歩から』
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蝗が熱そうにピョンと跳ね退いた、白いタイルが怨めしかった。

「こちらですの、お姉様」
「わかった、わかったから……うう、眠い……」
「ん――よっ、白井ちゃん、御坂」

 と、そこに空間移動(テレポート)で現れた黒子と美琴。そんな二人に、努めて朗らかに嚆矢は挨拶した。

「……では、主治医の方にお話を伺いますの。お姉様、行きましょうか」
「あー……あたしはパス。ここで待ってるわ」
「そうですか、では私だけで行って参りますの」

 美琴の言葉に、『じゃあ白井ちゃん、一緒に行こうか』の言葉を発しかけたままで嚆矢は押し黙った。
 ここまで徹底的な牽制を受けては仕方在るまい。そこまで空気が読めなくはない嚆矢であった。

 その黒子が通路の奥に消えた後、美琴が側に寄ってきた。

「ちょっと、対馬さん。黒子と何かあったんですか?」
「う〜ん、やっぱり目の前で、ちょっとした風紀違反をしたせいかな」

 苦笑しながら、面白そうに詰め寄ってきた美琴に答えた。流石に喫煙した、とまでは言わないが。

「お願いしますよ、対馬さ〜ん。応援してるんですから。もしも黒子が対馬さんとくっついたりすれば、私の肩の荷が下りるんだし」
「それが本音か……けどまぁ、天地八卦を返しでもしなきゃ、それはないなぁ……」

 近くの自販機でジュースでも奢ろうと近寄る。流石に自販機は災害時用の電池内蔵型、冷たいジュースが出てきた。それを投げ渡すと、美琴は健康的な笑顔を見せてくれた。

「しかし、『幻想御手(レベルアッパー)』……だっけか? 『使用すれば能力の強度が上がる』なんて胡散臭いもの、実在したなんてな」
「ですねぇ、頼りたくなる奴らの気が知れませんけど」

 それが今、風紀委員が追っているものである。最近、急にネット上で有名になった『プログラム』。
 どういったものかは不明だが、件の爆弾魔もそれを使っていたらしい。そして、散見される『書庫のデータと実際の能力値が噛み合わない事件』との繋がりも睨まれている物だ。

「まぁ、御坂には解らないだろうなぁ……努力で何とかしちまったわけだし。けど、『努力の芽』も見えない奴らからすれば、喉から手が出る程欲しいもんだろうよ」
「そこが分かんないんですよ。だって、『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』に他人のデータを取り込むなんて、気持ち悪いじゃないですか」
「ハハ、まぁそりゃあな。俺もゴメンだわ、俺は俺だし」

 珈琲を啜りながらの賛同に、『でしょ?』とジュースに桜色の唇を付ける。元が良いだけに、それだけでも絵になるのが御坂美琴である。
 だからか、今日は――目の下の、僅かな隈が目立った。

「寝不足か?」
「えっ? あ、まあ、ちょっと野暮用で……」

 問えば、何かを思
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