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乱世の確率事象改変
〜幕裏〜 彼の間違い
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せよ。こんなとこでのんびりしてるわけには――」
「本当にバカですね。まだお前は気付いてないんですか?」

 途中で区切る鋭い言葉は彼を苛立たせる。俯いた少女の口は引き裂かれていた。

「全て無駄になった……正しくありませんでしたね。これから本当に全てが無駄だったと思い知らせてあげましょう」

 数瞬だけ、彼は少女の言葉を頭に取り込めず、

「……どういう事だ?」

 しかし冷静に、感情が壊れても彼のする事は変わらず、少女がこれから言うであろう言葉を一つたりとて聞き逃すまいと意識を尖らせていく。
 少女はバカにしたように彼を下から見下して、呆れたように吐息を一つ零した。

「初めからお前は間違ってたんですよ。
 ふふ……なんで未だに劉備の元で我慢しているんですか? 自分と同じモノを掲げる曹操の所に行けばいいじゃないですか。そうすれば乱世を迅速に終わらせられるんですから」

 秋斗は何を言われているか分からなかった。停止した思考は疑問だけに支配されて、そのまま口から零れ出す。

「史実で劉備が負けたから、あの世界で劉備を勝たせればいいんだろ? それが世界改変なんだろ? だってお前は……俺が桃香に仕えるように雛里と初めに出会わせただろう?」

 愛しいモノとの邂逅を思い出して、史実では乱世の途中で死んでしまう名を持つ彼女を頭に浮かべて、彼は少女を見つめ続けた。

「ふふふ……もう一度言ってあげます。バカですねお前は。私はお前を世界に送り出す前になんて言いましたか?」

 言われて思い出していく秋斗は……その少女に嘲りを向けられて、瞳から光が消える。それほど頭の悪くない彼は少女の言っている事に気付いてしまった。
 しかし受け入れられない。否、受け入れたくなかった。バッと耳に手を当てて、その少女の言葉をこれ以上聞かないようにした。現実を受け止める事を拒絶してしまった。ただ……そんな甘い事は許されなかった。

「ここでは耳塞いだって無駄ですよ。私からしっかりと突きつけてあげましょう。あの時、私はこう言ったんです。
『歴史をなぞろうが反逆しようがのたれ死のうがあなたの自由です。これから行って頂く三国志は歴史とも少しだけ違うので好きに動いちゃってください』とね。これがどういう意味か、頭の悪くないお前なら分かるでしょう?」

 ブルブルと秋斗の身体は震えだす。彼の心には先程行われていた交渉の場よりも膨大な絶望が押し寄せ始めていた。
 少女は……その滑稽な姿を見て甲高い笑い声を上げた。

「あはははは! ほーんとバカですねぇ! 最初からお前は! 盛大な勘違いを! していたんですよ!」

 区切って放たれる言葉は矢のように秋斗の心に突き刺さって行く。己が間違いを頭にねじ込まれていく。

「劉備を! 大陸の
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