暁 〜小説投稿サイト〜
オズのモジャボロ
第二幕その五

[8]前話 [2]次話
「お弁当があります」
「うん、じゃああそこまで行ってね」
「そしてですね」
「お昼を食べよう」
 まさにそのお弁当をです。
「そうしよう」
「晩御飯の分も頂いていきましょう」 
 ナターシャは夜のことも考えて言いました。
「そうしましょう」
「夜もですね」
「夜の分もなの」
「だって晩御飯の時もお弁当の木が傍にあるとは限らないじゃない」
 ナターシャはこう恵梨香に答えます。
「だからよ」
「それでなの」
「そう、だからね」
 晩のことも考えてだというのです。
「晩の分もね」
「そうね。そうした方がいいかしら」
「いや、それには及ばないよ」
 けれどここで、です。モジャボロが五人にこう言ってきました。
「晩のことはね」
「特にですか」
「取っておく必要がないんですか」
「うん、晩は晩でどうにかなるからね」
 だからだというのです。
「心配しなくていいよ」
「そうですか、じゃあ」
「このままですね」
「うん、気にしなくていいい」
 こうお話してでした、そのうえで。
 一行はお弁当の木のところに向かいました、そうしてそれぞれお弁当を取ってそのうえで食べはじめました。
 ナターシャはそのお弁当を食べてこう言いました。
「いや、これは」
「これはって?」
「どうしたの?」
「いいわね、黒パンがね」
 ブリキの中の黒パンを出して食べながらです、ジョージと神宝に答えます。
「美味しいわ」
「固くない?黒パンって」
「そんなイメージがあるけれど」
「今は柔らかくなってるのよ。それにね」
「ああ、ロシアではね」
「黒パンが主流だからね」
「白いパンも美味しいけれどね」
 それでもだというのです。
「やっぱり黒いパンも馴染みがあって好きなのよ」
「つまり黒パンはナターシャのソウルフードなんだ」
「そうなるんだね」
「そうよ、だからね」
 まさにです、ソウルフードだからだというのです。
「好きなのよ」
「成程ねえ」
「そういうことだね」
「あとこのソーセージとお野菜も」
 ソーセージは焼きたてです、そしてお野菜はとてもよく煮られています。その二つも食べて言うのです。
「美味しいわ」
「量も多いわね」
 恵梨香は御飯のお弁当を食べています、おかずは鮭に椎茸と筍、それに人参をお醤油で煮たものです。
「これなら一箱食べたらお腹一杯よ」
「僕もだよ」
 モジャボロはサンドイッチ、ハムサンドを食べています。彼の大好物である林檎を切ったものもあります。
「一箱でね」
「お腹一杯ですね」
「そうなりますね」
「うん、なるよ」 
 それだけでだというのです。それぞれのお弁当にはお茶やジュースが入った水筒までしっかりとあります。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ