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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第四十三話
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「帝都から連絡は?」

 観戦武官達が離陸していく輸送隊を見ながら今村は参謀長の栗林に問う。

「昨日、弾薬類を空中投下したのが効いています。翡翠宮の戦闘は相変わらず此方が有利です」
「そうか……。救出部隊は?」
「長雨の影響で進撃は遅れていますが、後一日で帝都に到着するようです」
「……上手くいけば脱出は可能だな。だが帝国が戦力を送り込めば……」

 後の言葉を今村が言わなかった。



「突撃ィ!!」
『ウワアァァァァァーーーッ!!』

 翡翠宮の正門では掃除夫が兵士を従えて突撃命令を出した。

「三度目の突撃が来るぞ!! 撃て撃てェッ!!」

 丸太で作った急造陣地で樹が叫ぶ。近くの急造陣地から九二式重機関銃が射撃を開始する。それに続いて水野が九九式軽機関銃の射撃を開始した。
 七.七ミリ弾は突撃する兵士達の身体を貫きその生命を奪う。彼等が身に付ける鎧は弾丸に全く歯が立たないのだ。
 たまに鎧を二重に重ねた兵士が現れるが、狙撃手がヘッドショットを決めて鎧の効果を無くしていた。
 攻撃には小銃と機関銃しか参加していない。歩兵砲や砲クラスは砲弾の節約していた。初日の攻防戦では砲弾を多数消費して翡翠宮の正門を瓦礫に変えていた。
 しかし掃除夫達は瓦礫を防御陣地にして激しく抵抗していた。

「しつこいね掃除夫達も……」
「もう少しすれば奴等も最後の突撃をするだろう。その時の介錯は頼むぞ」
「任しときな」

 ヴィフィータはそう意気込んでいた。兵士達を戦死させた後、掃除夫達も突撃してくるがそこはピニャの騎士団に任していた。
 弾丸の節約もあるし、騎士団も戦いたいという尊重もあったりする。
 数人を残して部隊は壊滅するのがここ三日での光景だった。なお、遺体は丁重に葬り翡翠宮の庭に埋葬している。
 何れはキチンとしたところで埋葬する予定だ。鎧や剣とか役に立ちそうなのは回収して装備している。鎧など陣地の楯代わりしたりしている。
 そしていつしか掃除夫達しかいなく、掃除夫達も突撃を敢行して騎士団に討たれた。

「……いつまで続くのかねぇ……」
「だな。こちとらピニャ様の安否を確認したいけどよ……」

 右頬に少量の返り血が付いたヴィフィータはそう呟いた。樹は手拭いをヴィフィータにやりヴィフィータは返り血を拭いた。

「強行突破しても帝国軍が待ち構えてそうだな」
「早く救出部隊が来てくんないかね……」

 陣地でそう呟く樹だった。





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