暁 〜小説投稿サイト〜
蒼穹を翔る運命の翼
PHASE-02 「現実」
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「全く、何から片付ければ良いのだか」
 報告書を纏めながら、私は息をつく。そう好きではない事務仕事にウンザリしていた体は、椅子の背もたれに身を預けるだけでそのまま眠ってしまいそうになる。
 新入生の入学直前に起こった突然の事件。幸いにも怪我人は出なかったが、学園の被害が無視できないレベルだ。
 校舎入り口のガラス扉は全損、その上、校庭には大穴が開いた。
 ガラス扉は件の侵入者がぶち破り、校庭の大穴は正体不明機の爆発が原因である。
 あの後で山田先生に聞いた話だが、そもそもあの侵入者が暴れ回った原因は、間接的にウチの生徒が原因らしい。
 警告を無視し不用意に機体に触れ、機密保持の為に機体を爆破され、挙句の果てには取り逃がしてしまった始末。
 校内に配備していた生徒も同罪だ、一人を相手に翻弄されているとは、IS学園生徒の名が泣くと言うもの。
 あの後ミッチリと説教をしてやったが、まぁどこまで行っても、アイツ等はまだまだ学生だ。荷が重かったのかもしれんが。
 だが、それは些細な問題だろう。訓練不足はまだまだこれから補える。
「奴は一体、何者なんだ」
 本当の問題は例の侵入者、シン・アスカという少年だ。
 見慣れない軍服を身に纏い、製造元の不明な装備を身に着け、正体不明の機動兵器に乗ってやって来た侵入者。
 押収した装備はどれも存在しないメーカーの物だった。個人の製作したワンオフとも考えられたが、明らかに工場で生産された大量生産品にしか見えない。
 校庭で回収したトランクの中にあったスーツは、そばに落ちていたヘルメットと合わせて一つの装備らしく、調査の結果、宇宙服と判明した。
 あれ程、高性能な宇宙服はまだ実用されておらず、当然の事ながら製造元も不明。
 侵入者は「国連平和維持軍出向・ザフト軍所属、氏名はシン・アスカ」とだけ名乗り、後は黙秘の一点張り。
 学園に居させる訳にもいかず、装備の調査と合わせて倉持技研に護送をしたが、再三の調査と聴き取りを合わせても他には何も分からない。
 いや、裏付けが何もないと言った方が適切だろう。
 PKF―平和維持軍に問い合わせたが、その様な人物は出向されておらず、そもそもザフトという軍事組織も存在しないとの事だ。
 軍服と宇宙服、装備に刻まれた『ZAFT(おそらくこれがザフトとやらだろう)』とは何なのか。あれ程の装備を開発出来る組織についての情報が、全くないというのは有り得ない。
「次は私が直々に、取り調べをする必要があるな」
 ふぅ、と息をついて背を起こし再び報告書の作成に戻る。
「後は、コイツについての聴き取りも必要……か」
 倉持技研からの報告書を見ながら、一考する。
 例の正体不明の大型機動兵器……、いや大型機動兵器だった物の調査報告書だ。
 あの爆発の後、この機動兵器は
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ