暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
弄ばれた2つの心
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「アタシは災厄の道化(ミスフォーチュンクラウン)のマミー・マン!道化師が人に笑顔を配るなら、アタシ達は人に災厄を撒くのさ」

きらりと瞳を煌めかせ、マミーは告げる。
その表情は心底楽しそうで、何故かルーシィは寒気を覚えた。
その顔は笑顔でありながら笑顔ではなく、冷たそうでありながら冷たそうではない。
表すなら、不気味なのだ。

「・・・ルーシィ、下がってて」
「ルー?」
「ん?」

静かに呟かれたルーの言葉。
それにルーシィは首を傾げ、マミーは笑みを崩さずに小さく舌舐めずりをする。

「気に入らないんだよ・・・お母さんに会えるかもしれないって信じたルーシィの心をズタズタにされたのが・・・」

その表情は、見えない。
俯いているから、その目に何を映しているかも解らない。

「もう1度だけでも会えるかもしれないって思った人の心を弄んだのが・・・」

空気の流れが、変わる。
この場を支配しているのは、風使い。
その感情を表すかのように、空気の流れが荒れる。





「だから――――――――潰す」





ルーの顔が上がる。
だが、ルーシィはその表情を見る事が出来なかった。
見えるのは、後ろ姿だけ。

「・・・ふぅん、攻撃の魔法を苦手とするアンタがアタシと戦うっての?なかなかユニークな展開だねぇ」

マミーは嬉しそうに笑い、髪を耳にかける。

「ま、アタシ的には相手は誰でもいいんだよね。アンタだろーが後ろの金髪女だろーが、ティア嬢だろうが」

真っ直ぐにマミーを睨みつけるルー。
その表情を楽しそうに、嬉しそうに見つめ、マミーは笑った。
残酷に、冷酷に。

「辛そうに泣き喚いて、苦しそうに悶え死んでくれればそれでOKだしっ♪」













「・・・随分と単純な女だったな。あんな簡単な罠にかかるとは」

床に倒れるジュビアに目を向け、青年は呟いた。
当然だが、この青年はグレイではない。
ザイール・フォルガ―――――――災厄の道化(ミスフォーチュンクラウン)の魔導士だ。

「にしても、そんなに似ているのか?俺とグレイという奴は・・・」

何気なく気になった事を呟きながら、ザイールは部屋を出ていこうと足を進める。
倒れるジュビアに再び目を向け、その瞳に僅かに感情を宿し、ドアノブに手を掛け――――





「待ち・・・な、さい・・・」





ジュビアの声に、その手を止めた。
振り返り―――――目を見開く。

「グレイ様のフリをするなんて・・・ジュビアが許すとでも思ってるの・・・?」

ジュビアは、立っていた。
確かに傷は負っているが、何の問題もなく立っている。

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