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獣退治
第五章

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 だから正々堂々と姿を現して攻めるのではなく夜に奇襲を仕掛けることには引け目を感じていた、だが。
 それでもだ、軍人だからこそこのこともわかっていた。
「戦争は勝ってこそだ」
「そうですね、奇襲も戦術ですし」
「今回の任務もですね」
「成功させて生還するからな」
 絶対にだというのだ。
「いいな」
「はい、一気に進んで攻撃し」
「列車砲を破壊して」
「そして全速力で離脱する」
「そうしますね」
「そうだ」
 まさにだ、そうするというのだ。
「それではだ」
「はい、では」
「今から」
「ドイツ軍の勢力圏に入る」
 これからだというのだ、こうしてだった。 
 四機のモスキートは夜の空を進んでいった、ドイツ軍の対空陣地を巧妙に通り抜けそのうえでだった。
 列車砲のあるポイントに近付いて、それでだった。
 クレイドルはだ、部下達に言った。
「ではな」
「はい、それでは」
「今から」
「高度を落す」
 こうも言った。
「超低空でだ」
「攻撃ですね」
「列車砲に」
「急降下爆撃はしない」
 それはしないというのだ。
「超低空でいくぞ」
「そしてですか」
「その後で」
「仕掛ける」
 攻撃をというのだ。
「わかったな」
「はい、やりましょう」
「一気に通り抜ける形で攻撃してですね」
「一撃離脱で逃げる」
「そうするんですね」
「気をつけろ、レーダーはなくともな」
 それでもだというのだ、レーダーは少なくともイギリス軍の方が充実している。
「奴等は目がいい」
「夜目もですね」
「いいですね」
「ドイツ軍は抜け目がないからな」
 だからこそだというのだ。
「もう見つかってるかも知れないからな」
「じゃあ今頃はですか」
 部下の一人がここで言って来た。
「俺達への迎撃に夜間戦闘機が出撃していますか」
「そうかも知れない」
 クレイドルもその可能性を否定しなかった。
「実際にな」
「そうですか、やっぱり」
「しかしだ」
「敵が来ていてもですね」
「作戦は成功させる」
 それは絶対にだというのだ。
「そのうえで帰るからな」
「全員で、ですね」
「ああ、作戦会議の時に何度も言ったな」
「はい」
 この作戦は絶対に成功させてしかも全員生きて帰ることはだ、クレイドルは本当に何度も言い部下達も聞いている。
 それでだ、この部下もこう言うのだった。
「そうでしたね、それじゃあ」
「ああ、行くぞ」
「わかりました」
 こうしたやり取りもしてだ、そのうえで。
 四機のモスキートは超低空飛行に入った、そうしてだった。
 攻撃コースに入った、そこからだった。
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