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獣退治
第四章
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「スコッチだ、最高級のな」
「おお、スコッチですか」
「それも最高級の」
「そうだ、奮発してな」
 イギリスはとにかく物資不足に悩んでいた、それでスコッチも中々飲めなくなっていた。それで彼等も言うのだった。
「それはいいですね」
「期待していますよ」
「ああ、期待してもらって結構だ」
 クレイドルもにこりとはしないが確かな言葉で返す、そしてだった。 
 彼等はそれぞれのモスキートに乗り込み出撃した、皆顔は険しい。
 夜の中出撃し漆黒の中を飛ぶ、その中で。
 クレイドルは部下達にだ、通信で伝えた。
「先導は私がする」
「はい、お願いします」
「それは」
「既に敵の対空陣地は頭に入っている」
 完全に頭の中に叩き込んだのだ、その場所を。
「その盲点もな」
「そこを通ってですね」
「そうして進み」
「一気に突入する」
「敵の列車砲の場所に」
「そこに」
「そうだ、ただしだ」
 ここでだ、クレイドルはこのことも部下達に言った。
「列車砲の傍にもだ」
「高射砲がありますか」
「対空砲座も」
「そしてだ」
 そのうえだった、驚異は地上にあるだけではないというのだ。
「敵機もいるからな」
「夜間戦闘機ですか、ドイツ空軍の」
「ルフトパッフェですね」
「あの連中はまだいる」
 これまでの戦争でかなり消耗していてもだ。彼等はまだ残っているというのだ。実際にドイツ空軍はまだ精鋭が残っていた。
「あのジェット機は夜は出ないみたいだがな」
「メッサーシュミット262ですか」
「あれですね」
 このジェット機は連合軍の恐怖の的になっていた、その恐ろしいまでの速度はモスキートのそれも凌駕しているのだ。
「あれは夜は出ないですか」
「それがせめてもの救いですね」
「そうだ、だからだ」
 それでだというのだ、クレイドルは小隊をダイアモンドに組ませ自ら先頭を務めつつ夜の空を進みながら話していく。
 夜の空には星しかいない、その中を進みながら話すのだ。
「落ち着いていくぞ」
「焦らなければ成功する」
「そういうことですね」
「そうだ、この作戦は必ず成功する」
 断固たる自信を以ての言葉だった。
「私がそうさせた」
「作戦を組まれて」
「そうしてですから」
「絶対に全員生きて帰ると決めたからな」 
 それ故にだというのだ。
「だからな」
「必ずですね」
「成功しますね」
「言ったな、スコッチが待っているとな」
 最高級のそれがだというのだ。
「しぶといドイツ人にも調子に乗っているアメリカ人にも見せるぞ」
「我々の戦い方をですね」
「それをですね」
「そうだ、見せる」
 イギリス軍の戦い方をだというのだ。
「伊達に我々も世界を主導してきる訳ではない」
「ですね、俺達は大
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