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桜の木
第六章
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「しかもね」
「尚且つ開戦で」
「本当に馬鹿が何をするかわからない」
「日本に対して」
「そう、ワシントンでも何が起こるか」
「わからないね」
「正直そのことを思うと気が重いよ」
 エセックスは昼食のローストチキンをフォークとナイフで切りながら言った、ソースと香辛料で味付けされた鶏肉は彼の好物の一つだが今は美味く感じなかった。
「合衆国の歴史に馬鹿げた一行を刻むかと思うと」
「嫌になるね」
「合衆国は偉大な国だよ」
 エセックスもアメリカ人だ、だからこのことは確信している。
 しかしだ、だからこそなのだ。
「その合衆国の歴史に醜い一行を書き加えることは」
「耐えられないね」
「とてもね、けれどそれは避けられないね」
「この状況では」
「本当に何が起こるか」
 エセックスは苦々しい顔のまま言う。
「そう思うと暗鬱だよ」
「全くだね」
 ワルトも今は昼食を美味しくは感じなかった、戦時色一色になったアメリカは同時に憎悪と偏見にも染まっていた。
 そして二人が昼食の後ワシントンの街を歩いていると、何人かが騒いでいた。
 見ればその手には斧や鋸がある、そしてそういったもので。
 桜の木を切っていた、彼等は切りながら口々に叫んでいた。
「日本からの贈りものなぞ切ってしまえ!」
「こんなものいるか!」
「卑怯者からの贈りものだ!」
「倒せ!ワシントンから桜の木をなくせ!」
「全部切ってしまえ!」
「やっぱり出たな」
 その彼等を見てだ、エセックスはこの上ない嫌悪をその顔に浮かべて呟いた。
「馬鹿が」
「そうだね」
 桜の木が一本倒れた、周りにいる者達はそれを見て喝采を叫ぶ。
「日本を倒したぞ!」
「俺達が倒した!」
「もう一本だ!」
「もう一本倒せ!」
 こう叫ぶのだった、その彼等に。
 エセックスはワルトと共に近寄った、そのうえでこう彼等に言った。
「随分と日本と戦いたいんだね」
「ああ、日本は俺達の敵だ」
「だからこうして桜の木も倒しているんだ」
「この木は日本の木だからな」
「全部倒してやるさ」
「ワシントンから全部消し去ってやる」
「そうか、それならな」
 思うことは顔の裏に隠してだった、エセックスは必死に冷静さを保ちながら顔を真っ赤にして怒りに満ちたうえで桜を倒したことに満足している彼等に対してこう言った。
「君達は戦場に行くべきだ」
「戦場!?」
「日本と戦うべきだっていうんだな」
「そうだ、日本は今凄まじい勢いで攻めている」
 こう彼等に言うのだった。
「もうすぐアメリカにも来るかもな」
「ああ、そうらしいな」
「カルフォルニアにもな」
「ハワイが危ないってな」
「奴等滅茶苦茶暴れているらしいな」
 そのままハーストの記事だった、彼等はそれも
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