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レースへ向けて
5部分:第五章
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第五章

 淡々とだ。こう言うのだった。
「では今からだ」
「はい、優勝のランクに立たれてですね」
「それでシャンパン開けてですよ」
「後はパーティーです」
「そうしましょう」
「パーティーの用意は」
 そのことを冷静に問う彼だった。
「今からか」
「はい、会社の方で進めていますので」
「会社自体でのお祝いですよ」
「だから楽しみにしておいて下さいね」
「凄いですから」
「わかった」
 来栖は頷いた。だがそれだけだった。 
 やはり淡々としてだ。宮城にもだ。こう言うのだった。
「では行こうか」
「はい、パーティーにですね」
「やっとだったな」
 来栖は微笑んで言った。
「優勝した。そしてだ」
「ええ、勝って兜の緒を締めろですけれど」
「それも終わりか」
「では今日は久し振りにな」
「思いきりやりますか」
「そうする。いいな」
 こう話してだ。二人はそのパーティーに赴くのだった。
 パーティーは無礼講だった。会社の社長も参加しての。さながらプロ野球チームの優勝の祝賀会だった。その中で二人はというと。
 それぞれだ。ビールを手にしてだ。
 それをスタッフ達にかけながらだ。思いきり笑って言うのだった。
「よし、今日はもうな」
「明るくやりましょう」
「飲んで食ってそれで」
「思いきち破目を外してな」
 実際に率先してそうなっている彼等だった。そんな彼等を見てだ。
 スタッフ達は唖然となってだ。こう言うのだった。
「あの、何か違うんですけれど」
「全く違いますけれど、普段とは」
「一体どうしたんですか、優勝までの冷静さは」
「あの淡々とした感じは」
「勝負だったからな」
 それでだとだ。来栖が問う彼等に頭からビールをかけながら答えるのだった。
「だからあえてだ」
「ああして冷静にですか」
「冷静にしておられたんですか」
「そうだ。そうしていた」
 まさにあえてそうしていたというのだ。
「俺も宮城もな」
「それで今はですか」
「今は破目を外しておられるんですね」
「いや、これが俺の地だな」
「俺もですよ」
 ここで宮城も来てだ。スタッフ達にビールをかける。彼は自分自身にも頭からビールをかけてだ。そのうえで実に陽気に言うのだった。
「レースは勝負じゃないですか。ですから」
「冷静さを保っていないとならないからな」
「だから俺達は本当にこの一年は何があっても冷静でいようとしてたんですよ」
「バイクが事故に遭った時もな」
 来栖は傍にあった肉を手掴みで取りかぶりつきながら話した。
「あの時は内心かなり焦った」
「俺も。どうなるかって思いました」
「けれどそれでもな。何とか冷静さを保ってな」
「テレーニングと再設計とかをしたんですよ」
「ううん、そ
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