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レースへ向けて
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第一章

                       レースへ向けて
 前回のレースではだ。彼等はだ。
 惜しくも二位だった。それでだった。
 そのレースの直後からだ。こう話すのだった。
「次は絶対にな」
「はい、トップですね」
「優勝するぞ」
 こうだ。メインレーサーの来栖朔也がだ。サブレーサーの宮城一真に言う。
 来栖の背は一八〇程で細い目に顔をしている。肌は浅黒くそれがその細い顔を際立たせている。黒髪を奇麗に切っている。
 宮城はその来栖よりも五センチ程高い。顔はやはり細長くだ。優しい目をしている。その髪は細いが量が多い。耳を覆うまでの長さだ。
 その彼等がだ。ガレージの中で話をしていた。まずは来栖が言う。
「まずは俺達だが」
「トレーニングですね」
「ああ、やっぱり何処か甘かったか」
「甘いっていうかもっと合理的にしませんか」
 宮城は自分の前に座る来栖に述べた。
「ランニングにですね」
「ランニングにか」
「はい、短距離のダッシュも入れて」
 それでだというのだ。
「後は。食事ですね」
「肉よりもだな」
「魚と鶏肉メインでいきますか」
「それでいいな。あと炭水化物だな」
「はい、それ増やしましょう」
「特にレース前はな」
 レーサーはレース前には炭水化物に切り替える。そうして動きを軽くさせるのだ。
 そしてだ。今度は来栖からこう言ってきた。
「それとフットワークだ」
「はい、左右の動きですね」
「そのキレをよくするか」
「ですね。何かこれまでの俺達って」
「トレーニングが合理的ではないな」
「そうですね。ですから」
「そこを何とかしてだ」
 さらにだった。来栖は宮城に話した。
「後は。バイクだな」
「もう一つの肝心な、ですね」
「そこをどうするかだな」
「俺達のバイク、何が足りないんでしょうか」
「スピードはよかった筈だ」
 それについては問題がないというのだ。
「それはな。しかしだ」
「それでもですね」
「動きが悪くなかったか」
 来栖は腕を組み考える顔になっている。その顔でだ。
 彼の向かい側に座る宮城にだ。こう述べたのである。
「コーナーを曲がる時な」
「あっ、ちょっと重かったですね」
「僅かだがな」
「直進には強かったですけれど」
「コーナーだったな」
「向こうの車コーナー速かったですよね」
 宮城がここで言った。彼もレースに参加して実際に見たことだ。
「ハンドルが重かった。それにだ」
「バイク自体も」
「重かったな。そこを改良するか」
「ですね。それじゃあそこを」
 彼等はただのレーサーではない。開発担当でもあるのだ。会社ではバイクの設計担当でもある。バイクの会社の設計者なのだ。そしてレーサーでもあるのだ。
 その
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