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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第1章 虚空爆破事件
七月十八日:『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』
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反応を元に『星の吸血鬼』の居場所を特定、涙子に避難するよう指示してから走り出す。
 一刻一秒、無駄にはできない。あそこまで黒子が焦っていたのだ、もう猶予は僅かな筈。

「さっきから、追い詰められてばっかだな――――!」

 愚痴りながら、漸く見付け出した。飾利は調度、小さな女の子からカエル(?)の縫いぐるみを受け取って――――

「――――逃げてください! あれが爆弾です!」

 それを投げ捨てると、女の子を庇って伏せる。カエルの縫いぐるみは、成る程、内側に押し潰されるように(ひしゃ)げていた。
 その様子に、嚆矢は更に『硬化』と『軍神』のルーンを刻む。戦いにおける、幸運を掴む為に。

 『超電磁砲(レールガン)』を撃とうとして失敗、コインを落として立ち尽くす美琴と少年の間を走り抜ける。
 やるべき事は、只一つである。

「――待ってないかもだけど、お待たせ、初春ちゃん」
「対馬さん――――?!」

 その、更に上から覆い被さる。盾を取りに戻る時間はないが、既に『硬化』は刻んである。『虚空爆破(グラビトン)事件』の犯人に見込まれている大能力(レベル4)くらいまでなら、大怪我レベルで済むだろう。
 無論、死ねるレベルである事に違いはない。大能力(レベル4)の触れ込みは、『軍事利用が見込める』能力なのだから。実際、彼の友人二人の能力も、楽に人間を殺せる威力がある。

「護って見せるよ、飾利ちゃん。なァに、俺の手が届く範囲は……俺の『制空権域(アトモスフィア)』だからな――!」

 それでも、笑い掛ける。飾利と、飾利が庇う女の子を安心させられるように。

『オイ、伴侶ヨ……貴様、何ヲシテイル?!』

 然り気無く、『妖蛆の秘密』を盾にしたりしながら。

――痛ェンだろうなァ……けどまァ、女の子を護ってなら仕方ねェかァ


 と、早々に覚悟を決めて飾利を抱き締める。小さな身体はすっぽりと嚆矢の影に隠れ、被害は出まい。
 それが、唯一の救いだとばかりに苦笑して――――

「――――早速、借りを返す機会がきたな」
「――――?!」

 爆弾と嚆矢達の間に立ちはだかった、さっきまで美琴の隣にいた少年――()()()()()()()()()()()()()()()()を見た――――!


………………
…………
……


 犯人が、警備員(アンチスキル)に連行されていく。眼鏡の、赤い髪の――少し前に、飾利とぶつかったあの少年が。
 因みに、その姿はズタボロ。後で聞いた話に依れば、どうやら美琴に見付かりシバき回されたらしい。

「……まぁ、結果オーライか」

 
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