暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜Cross world〜
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書いて『ことわり』と読む。

そんな力の塊だったのだ。

言葉の疎通もできない。つまりは意思の交換、または理解もできはしない。したがって、説得やネゴシエーションの類も却下される事になる。

じわり、と少女は嫌な汗を感じ取る。

打つ手がない。

それゆえの、逃走であった。

重くなる空気の中、レンはふと気が付いたとでも言うように言った。

「ずいぶん落ち着いてるね、ルナねーちゃん」

「………………………………」

そう言われればそうだ。

こんな、ゲームすらも通り越した非現実的な現実を目の当たりにしたばかりの今に至って、少女は他人事のようにその事実に思い至る。

驚きはそりゃしたが、今となってはあまつさえ受け入れ、柔軟に対応策へと頭をシフトさせている始末だ。

これはいったいどういうことなのだろう。

いや、その問いかけもまた愚問なのだろうか。

なぜならその答えは、分かり易過ぎるくらいにはっきりしているのだから。

―――ソレイユ。

愛せる人。

愛する事ができる人。

あの男に振り回された事を、たぶん自分は一生忘れる事はないだろう。

長い、本当に長いため息の隙間でルナは言う。

「まぁ、色々あってね」

その言葉が、とあるちっこい少年を悶々とする思考の海の中へ突き落とした事を、少女は知る由もなかった。
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