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Fate/EXTRA IN 衛宮士郎
狩人の襲撃
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階段の上に立ち、眼下の四人の姿を見下ろしながら、静かにそう自覚した。数ヶ月前に体験したあの戦争とはまた違う戦争。 エミヤシロウがいる、セイバーがいる、遠坂がいる、アーチャーがいる。そして何より、死んだはずのイリヤがそこにいる。
誇りと哀惜感とが彼女を包む。魔道の名門、アインツベルンが必勝を期して送り出した世界最強の英雄ヘラクレス。この時の彼女は、その不敗を微塵も疑ってはいなかった。 ギルガメッシュにやられるまで…………

「……アーチャー、聞こえる?」

遠坂は口を開く。まるで、それを自分の声で宣告することだけが、彼女にできる償いであるかように信じるが如く。

「少しでいいわ。私たちが逃げている間、アイツの足止めをして」

(なっ!?)

遠坂はアーチャーにしねと言っているのか!?
イリヤスフィールの背後にいた巨体が、ロビーの中心に移動した。眼前に聳える魔人。前も後ろも間に合わない。攻撃すれば無効化され、惨殺。逃げようと背を向けた刹那、斧剣に両断され、惨殺。
そんな相手と戦うなど自殺行為と言ってもいい。遠坂はアーチャーの背中をみつめている。かける言葉などないのだろう。遠坂も、自分の命令が無茶だと解っている筈だ。自分たちを逃がすために、アーチャーに死ね、と言ったのだから。

「…………アーチャー、わたし」

「ところで凛。一つ確認していいかな」

何かを言いかける遠坂を場違いなほど平然とした声で、アーチャーが遮った。

「……いいわ。なに」

伏目でアーチャーを見る遠坂。アーチャーはバーサーカーを見据えたまま、

「ああ。時間を稼ぐのはいいが。別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」

二人と一騎を逃がすための足止めをマスターから命じられた時に、赤い弓兵は傲岸なまでの台詞を言い放った。

「アーチャー、アンタ………」

アーチャーの言葉に驚きを浮かべていたが、それが徐々に笑みに変わり

「ええ、遠慮はいらないわ。がつんと痛い目にあわせてやって、アーチャー」

「ならば、期待に応えるとしよう」

アーチャーは一歩、二歩と足を踏み出す。後ろを振り向くことなく、ただ敵の殲滅だけを考えているのがわかる。

「っ、バカにして…!いいわ、やりなさいバーサーカー!そんな生意気なヤツ、バラバラにして構わないんだから…!」

ヒステリックなイリヤの声。意にも介さず、遠坂はアーチャーに背中を向けた。

「行くわ。外にでれば、それでわたしたちの勝ちになる」

遠坂はエミヤシロウとセイバーの手を握って、背後にアーチャーを残したまま玄関へと走り始める。

「衛宮士郎」

そんな中アーチャーはエミヤシロウだけを呼び止めた。そして何を思ったか俺にはわからないが、エミヤシロウに何かを伝えよ
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