暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
天使炎上篇
14.模造の天使
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彼女の前に女が立ちはだかる。
 噴き出す鮮血が彼女の手の中に紅い槍を出現させる。大柄の女の身丈ほどを上回る長槍だ。

「姫柊、夏音は俺と古城に任せてお前は、そのババアを止めてくれ!」

「わかりました」

 大柄の女は、彩斗の言葉に怒り攻撃してこようとするが雪菜がそれを防ぐ。
 彼女のことを信用している彩斗は、夏音のほうへと顔を向ける。

「Kyriiiiiiiii──!」

 夏音の喉から甲高い声が迸る。
 人間の声帯からはありえない声は、まるで悲鳴のようだ。
 夏音を包み込む光が勢いを増す。彼女の肉体が変貌し出す。
 口腔を埋め尽くしていた牙は抜け、あどけなかった顔立ちは、黄金律の美貌へと変化。不揃いの醜い翼は、光り輝く三対六枚の美しい翼に変わる。
 その翼の表面に浮き上がったのは、巨大な眼球。

「これが……模造天使(エンジェル・フォウ)か……!?」

 古城が口を開く。

「夏音……。待ってろ、すぐに戻してやるからな」

 上空へと彩斗は右腕を突き出す。
 鮮血が噴き出し、膨大な魔力が溢れ出る。

「──降臨しろ、“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”!」

 模造天使(エンジェル・フォウ)翼と対照的に美しく輝く翼の梟が宙を舞う天使へと突撃する。
 真祖を殺せる降魔槍“七式突撃降魔機槍(シュネーヴァルツァー)”でも模造天使(エンジェル・フォウ)の身体を傷つけることはできなかった。
 だが、それは人の手によって生み出されたものだったため。
 “真実を語る梟(アテーネ・オウル)”は吸血鬼が従える眷獣。
 吸血鬼は神に呪われた“負”の生命体の塊である。そして“神意の暁(オリスブラッド)”は、神の呪いを受けし神々の化身だ。神の使いたる模造天使(エンジェル・フォウ)へと届くはずだ。

 神々しい翼の梟は、夏音の翼面の眼球から眩い光が放たれるのを自らの翼で受け止める。すると眩い光は消滅する。
 模造天使(エンジェル・フォウ)の攻撃を防げている。それが意味するのは、“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”の翼は、夏音へと届くということだ。

「いけ、“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”!」

 神々しい翼の梟が夏音へと激突する。
 その瞬間だった。漆黒の影が刹那のように出現し、梟を吹き飛ばした。

「なっ──!?」

 驚きで彩斗は声を出すことができない。
 “神意の暁(オリスブラッド)”の眷獣を吹き飛ばすほどの何かの存在。
 模造天使(エンジェル・フォウ)を守るようにそいつはそこに現れた。
 全身真っ黒の巨大な犬。真っ赤に燃え盛るような真紅の瞳。それは考えるまでもなく吸血鬼が従える眷獣だとわかった。

「古城、あいつに手を出すな」

 震え
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