暁 〜小説投稿サイト〜
ゴミの合法投棄場。
狂愛。
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かった」

 次の瞬間、ブツリ……と嫌な音と共に生徒会長が舌を噛み切った。

「――! っ――!」

 激痛に口を押えてのた打ち回る生徒会長を百合は呆然と眺めることしかできなかった。

「――ぎぅぅ……!」

 やがて、生徒会長は喉から妙な声を出すと、身体をひくひくと痙攣させながらも百合を見上げる。
 その瞳に宿った『狂愛』としか言いようの無い強すぎる感情に、百合は詰めていた息を吐き出し、眉を八の字に垂らしながらも今までの笑みとは性質の異なる笑みを浮かべた。 それは、演技していた頃の笑みに近い柔らかな物でありながらも何かが明確に違う、百合の心からの笑みであった。

「ったく、あんたって奴は……しゃあねぇ奴だな」

 痛みで朦朧とした意識の中で、その笑みを見た生徒会長は、様々な液体でぐしゃぐしゃになった顔を歪めて、百合に微笑み返した。
 百合はしゃがみ込み、生徒会長の髪を掴んで顔を持ち上げ、その唇に己の唇を重ねた。
 戯れのようなキスの後、赤く染まった己の唇をぐいっと拭い、片方の口角を吊り上げ言い放った。

「冥土の土産だ」

 ――やがて、生徒会長は息を引き取った。 壮絶な痛みと苦しみの中で息を引き取ったであろう彼女の最期の表情は、とてもそうは見えない安らかなものであった。



 ――数日後。

《ねぇ百合、見えてる? 本当は見えてるんだよね? ……見えてないの? 折角幽霊になれたのに――見えてるよね!?》

 百合はクラスメイトと談笑しながら、必死の形相で周囲を飛び回る生徒会長の霊を完璧に無視し見えない振りを決め込んでいた。

(まさか亡霊化するとは……【浄化】のスキルで消せんのかな……ま、面白いからしばらく放置しておくか)


 【Q. 《狂愛。》を合法投棄場に投棄しますか? →Yes/No】
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