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美しき異形達
第三話 怪人と炎その十四
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「神奈川でもちょっとな」
「ないよね」
「神奈川も結構酷い先公いるみたいだけれどな」
 それでもだというのだ。
「そこまで酷いのはちょっとな」
「考えられないでしょ」
「奈良県の先公ってヤクザでも出来るんだな」
 真剣な顔で腕を組んでだった、薊はこうも言った。
「いや本当にな」
「そうかもね。そんなことする人ってね」
「ヤクザだろ」
 それもかなり格の低いだ、ヤクザ者は社会の最底辺にいる連中だがその連中の中にも格というものがあるのだ。
「それもチンピラな」
「そう思うわよね、薊ちゃんも」
「何でそんな奴がいるんだ」 
 首さえ傾げさせてだ、こうも言った薊だった。
「奈良県の先公の世界は」
「だから色々あるんだ」
 そこは智和が答えた。
「奈良県独特のコネとかがね」
「コネでそんな奴が先公になれるのかよ」
「そういう場合もあるんだ」
「あたしだったらその先公真っ先に叩きのめしてるな」
「暴力には、かな」
「違うよ、成敗っていうかな」
 暴力ではないことをだ、薊は智和に話した。その場合は違うというのだ。
「そう思うんだけれどな、あたしは」
「暴力は弱い相手に振るうもの、それも抵抗出来ない相手にする場合は特に」
「そんなことする奴は一回叩きのめせばいいんだよ」
 薊はそこに彼女の倫理観から智和に返した。
「さもないと困る人が出るからさ」
「だからだね」
「ああ、あたしはそう考えてるんだけれどな」
「薊ちゃんの言うことは極端だけれど」
 裕香はその薊にあまり賛成していない感じの顔で言った。
「それでも弱い子にそうしたことをしないことはいいことね」
「裕香ちゃんも嫌いだよな」
「私はどちらかというと」
 いじめをするよりもとだ、弱々しい感じの顔になって答えた裕香だった。
「いじめられる方だったから」
「それでよね」
「ええ、だからね」
 それでだというのだ。
「いじめは嫌いなの」
「いじめをするって最低だからな」
「うん、だからね」
「いじめをすること自体が自分を弱い人間だって言っていることだよ」
 智和もこのことははっきりと言い切った。
「本当の意味でね」
「だよな、暴力もな」
「それもですね」
「そうだよ、僕もいじめはしないよ」
 そして暴力も振るわないというのだ、智和自身も。
「運動は苦手だけれどね」
「そうだよ、そんなことをしたらそれこそ」
 絶対にだというのだ、薊はまた言うのだった。
「あたしはあたしじゃなくなるよ」
「そんな先生と一緒にいなりたくないね」
「全くだね、じゃあ」
「それじゃあだね」
「怪人と闘うことはするさ」
 それは、というのだ。
「連中がどうやって出て来るのか、何で力を持っている人間を狙うかわからないけれどな」

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