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Element Magic Trinity
Rootsmemory of Elementerers編
Prelude of Trinity
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いる目覚まし時計だ。
つまり、壊れている。

「や、やっちまった・・・ルーがいねェ時に目覚ましが鳴るとか最悪すぎんだろ・・・」

何故アルカがここまで頭を抱えるか。
それは、彼の体質にある。
調理器具以外の機械に触れると、一瞬で機械が壊れてしまうという変わった体質だ。
目覚まし時計も例外ではなく、ただ目覚ましを止めようとしただけでこの有り様。
普段はルーに止めてもらっており、今日もルーシィと出かける前にルーがセットしておいてくれて、目覚ましが鳴り響く頃にはルーも帰ってきているだろうと思っていたのだが、甘かったようだ。

「また買い換えねーと・・・今月何度目だよオイ」

うっかり目覚ましを止めてしまうという事はよくあり、寝ぼけていたりするとよく起こる。
今日も寝ぼけてうっかり止めてしまった。
昼寝に目覚ましは必要ないといえば必要ないのだが、今日は愛する恋人ミラとのデートの日である為、ルーに頼んでセットしてもらったのだ・・・が。

「デートの最初に目覚まし買うってのもなァ・・・だけどこれがねぇとルーが起きられねぇし」

2人の部屋は別だ。
が、部屋の扉を少し開けておく事でルーの部屋にも目覚ましの音が響き、それでルーが起きる。
そしてルーが目覚ましを止め、アルカがまだ起きていなかったらアルカを起こす。
だったら最初からルーの部屋に目覚ましを置けばいいのだが、そこまで頭が回らないようだ。

「とりあえずジャケット・・・寝癖はこのまんまでいっか」

黒いジャケットを着こなし、少し跳ねる赤い髪は放置する。
右手に壊れた目覚まし時計を持ち、アルカは廊下を歩いていく。

「ルー、いるかー・・・って、いたら目覚まし止めてるよな」

一応声を掛けるが、リビングにルーの姿はない。
電気の付いていないリビングの照明を付け、黒いソファにどかっと腰掛ける。

「・・・あれから、今日で14年か」

呟いても、返事は返ってこない。
アルカはそう言うが、カレンダーには何の印もない。
チク、タク、と壁掛け時計の秒針だけが音を立てる。

「・・・」

アルカは無言でテーブルに魔水晶(ラクリマ)を置いた。
手を翳すと魔法陣が展開し、そこに2人の人が映る。
1人は男、1人は女。
その姿をアルカが見つめ―――

「やめたやめた、っと」

ヒラヒラと手を動かした。
ふっ、と煙のように男女が消える。
その漆黒の瞳が細まり、誰に言う訳でもなくアルカは呟く。

「戦いたくねぇ、か」

ゆっくりと、変わる。
ゆらりとアルカの纏うオーラが、変わっていく。
愁いから、闘志へと。

「テメェの目的が何だが知らねぇが・・・牙剥くってんなら、こっちだって牙剥いてやるよ」









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