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不老不死の暴君
第五十七話 水中戦
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「うるせぇ!!死ねぇ!!」

セアの言葉に耳を貸さず、セアに剣を振り下ろす。
その攻撃を避け、セアは隙だらけになった海賊の背を蹴って海に落とす。
そして海からでてきたハサミに挟まれて海賊の胴体は真っ二つになった。

《……先程海中で顔色を悪くしていたことといい、どうやらお前は息を吸わねば生きてはいけんようだな》
「別に生きてはいけるが」

別に溺れたところで別に死にはしないが意識は失う。
昔、航海中に大嵐に遭遇して船が転覆して意識を失い、浅瀬にフォーン海岸に打ち上げられて意識を取り戻したのだが、その時は大嵐の日から2年近い月日が経過していたことがある。
そのことを差し引くとしても水中戦だとセアも普通の人間同様、水の抵抗のせいで動きは陸上より鈍くなる。

《だが、地上よりは弱くなることに違いはあるまい》

ギャンスはそう言って派手に両手のハサミでセアの体を挟もうとしてくる。
セアは剣をギャンスの両手のハサミの間に滑り込まして防御する。

《ほう、これ程の力でも切れぬとは随分と頑丈な剣なようだな》

ギャンスの言うとおり、セアの剣には傷ひとつついていない。

《だが、これならどうだ?》

ギャンスはそう言うとセアの剣を掴んだまま跳ね上がる。
セアは剣から手を離さず、一緒に空中に放り出された。
そしてギャンスはセアを下にしてそのまま自由落下で海面に叩きつけられる。

「がッ」
《剣から手を離せば俺の手で胴体が真っ二つになって楽に逝けるぞ》

ギャンスはこのまま海底に叩きつけ、セアの意識を奪うつもりだった。
だが、ここでギャンスにとって予想外の行動をセアがしたのだ。
セアはギャンスの両手を止めている剣から左手を離して腰の鞘の位置にもっていく。
するとそこに収まっていた剣を抜き放ち、ギャンスの顔目掛けて突き出す。
ギャンスは咄嗟の回避で致命傷は避けたものの頬に切り傷を残す。
セアはそれを気にも留めず、再び海面に向かう。

《どういうことだ?お前の腰の鞘に剣など収まっていなかった筈だぞ!?》

ギャンスの疑問は自分の両手を塞いでいた剣によって氷解した。
自分の両手を塞いでいた赤黒い剣が黄色いミストを放ちながら消え始めたからだ。

《なるほど、魔霧から剣を精製していたのか……!!》

殺意を新たにしてセアに向けて再び閃光を放とうとギャンスは右手を向ける。
しかし、北の方からやってくる船団を確認してそれを中止する。

《チッ、あいつを消す為に派手な事をして我々が魔霧の外で活動していることをオキューリアに悟られたら元も子もないか。今回は【パイシーズ】を回収できただけでよしとしよう》

ギャンスは忌々しそうに船団を暫く睨むと船団に背を背ける。

《ハシュマリムと合流して
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